重心の運動エネルギーと相対運動の運動エネルギーの利用5

NEKO
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重心の運動エネルギーと相対運動の運動エネルギーの利用の練習問題です.

説明は次の記事を見てください.

問題

 上図のように,水平でなめらかな床の上に質量$M$の台がおかれている.台には,軽くて変形しない棒が固定されており,棒の上端$\rm O$には長さ$l$の軽くて伸びない糸がとりつけられている.この糸の他端には,質量$m$の物体がとりつけられている.

 糸を張り,$\rm O$と同じ高さまでもってきて台と物体を静止させた状態から,物体を静かにはなすと物体と台は運動をはじめた.ただし,台は床から離れず,物体は同一円直面内を運動する.重力加速度の大きさを$g$として次の問いに答えよ.また,速度の向きは上図の右向きとする.

 このとき,物体がはじめて最下点に達したときの物体の速度$v$と台の速度$V$をそれぞれ,$m$,$M$,$g$,$l$を用いて表せ.

運動エネルギーの変形

質量$m_{1}$,速度$v_{1}$の物体1と質量$m_{2}$,速度$v_{2}$の物体2の運動エネルギーの和$K$は

$K=\dfrac{1}{2}m_{1}v_{1}^{2}+\dfrac{1}{2}m_{2}v_{2}^{2}$

であり,重心速度$v_{\rm G}=\dfrac{m_{1}v_{1}+m_{2}v_{2}}{m_{1}+m_{2}}$,物体1に対する物体2の相対速度$v_{\rm r}=v_{2}-v_{1}$を用いると,運動エネルギー$K$は次のように変形できる.

$K=\dfrac{1}{2}(m_{1}+m_{2})v_{\rm G}^{2}+\dfrac{1}{2}\cdot \dfrac{m_{1}m_{2}}{m_{1}+m_{2}}v_{\rm r}^{2}$

物体と台には水平方向の外力がはたらいておらず,水平方向の重心速度は常にゼロである.

まず,運動を開始した直後の物体と台の速度はともにゼロなので,運動エネルギーの和は$0$(どちらの速度もゼロなので,重心速度もゼロ)

次に,物体が最下点にきたときの台に対する物体の水平速度を$u$とする.重心速度はゼロなので,重心運動の運動エネルギーは$0$.相対運動の運動エネルギーは

$\dfrac{1}{2}\cdot \dfrac{Mm}{M+m}u^{2}$

よって,最下点にきたときの運動エネルギーを重心の運動エネルギーと相対運動の運動エネルギーによって表すと

$0+\dfrac{1}{2}\cdot \dfrac{Mm}{M+m}u^{2}$

よって,力学的エネルギー保存則より

$mgl=\dfrac{1}{2}\cdot \dfrac{Mm}{M+m}u^{2}$

$\therefore\,\, u=\sqrt{\dfrac{2(M+m)}{M}gl }$

最下点にきたときの台の速度を$V$とすると,物体の速度$v$は台に対する物体の速度$u=\sqrt{\dfrac{2(M+m)}{M}gl }$を用いて

$v=V+u=V+\sqrt{\dfrac{2(M+m)}{M}gl }$ $\cdots (\ast)$

水平方向の運動量保存則より

$0=mv+MV$ $\cdots (2\ast)$

$(\ast)$を代入して

\begin{align*} &0=m\left(V+\sqrt{\dfrac{2(M+m)}{M}gl }\right)+MV\\ &\therefore\,\, V=\textcolor{red}{-m\sqrt{\dfrac{2gl}{M(M+m)} }} \end{align*} また,$(2\ast)$より \begin{align*} &v=-\dfrac{M}{m}V=\textcolor{red}{M\sqrt{\dfrac{2gl}{M(M+m)} }} \end{align*}

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