[発展]単振動の演習問題② 2つの物体の単振動②(質量が異なる場合)

分野別
問題

図のように水平で滑らかな床の上に質量$2m$,$3m$の2つ物体A,Bがばね定数$k$の軽いばねによってつながれている.

自然長の状態からAとBに力を加えてばねを$l$だけ伸ばして静かにはなした.

その後の運動について,次の問いに答えよ.

(1) AとBの重心でばねを分割して考える.A側のばね定数$k_{\rm A}$とB側のばね定数$k_{\rm B}$を求めよ.

(2) 重心から見たBの運動について考える.自然長の位置を原点として,ばねが伸びる方向に座標をとる.はじめ,重心から見たB側のばねはどれほど伸びていたか.$l$を用いて答えよ.

(3) B側の物体の運動方程式を立てることによって,重心からみたBの角振動数$\omega_{\rm B}$を求めよ.

(4) 同じく,A側の物体の角振動数$\omega_{\rm A}$を求めよ.

(5) 手をはなした時刻を$t=0$とする.時刻$t$におけるAとBの速度を求めよ.ただし,速度の向きは上図の右方向を正とする.

(6) 重心からみた運動量の和が0であることを確かめよ.

<解答>

(1)

PHYさん
PHYさん

この問題でも,前回と同様に重心の初速度は0で,重心の加速度も0なので,重心は常に静止しています.

NEKO
NEKO

重心はABを$3:2$に内分した場所にあるね.

だから,重心の左側のばねの長さと右側の長さの比は$3:2$です.

ばね定数は長さに反比例することから次の計算ができます.

ちなみに,なぜ,ばね定数は長さに反比例するのかを知りたい人は,次の記事を読んでみてください.

★ ばね定数を求める.

A側のばね定数について

$k:k_{\rm A}=1:\dfrac{1}{\dfrac{3}{5}}$

$\therefore$ $k_{\rm A}=\dfrac{5}{3}k$

B側のばね定数について

$k:k_{\rm B}=1:\dfrac{1}{\dfrac{2}{5}}$

$\therefore$ $k_{\rm B}=\dfrac{5}{2}k$

(2)

PHYさん
PHYさん

材質が同じで軽いばねは,力を加えると各部分が均等に伸びます

つまり,ばねが長ければ長いほど伸びが大きくなります

いま,A側のばねとB側のばねの長さの比が$3:2$なので,はじめの伸びも$3:2$となります.

ばね全体の伸びが$l$なので,A側のばねの伸びは$\dfrac{3}{5}l$,B側のばねの伸びは$\dfrac{2}{5}l$となります.

(3) 

NEKO
NEKO

さあ,運動方程式を立てましょう.

問題文の指定通り,自然長となる位置を原点ととり,伸びる方向を正とします.

Bが座標$x_{\rm B}$にあるときの加速度を$a_{\rm B}$とします.

このとき,Bにはたらく水平方向の力は弾性力のみですね.

★ 物体Bの運動方程式

$3ma_{\rm B}=-\dfrac{5}{2}kx_{\rm B}$

NEKO
NEKO

この運動方程式から,中心座標は$x_{\rm B}=0$,角振動数$\omega_{\rm B}$は

$\omega_{\rm B}=\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}$

周期$T_{\rm B}$は

$T_{\rm B}=2\pi\sqrt{\dfrac{6m}{5k}}$

また,中心から右端までの距離が$\dfrac{2}{5}l$なので,振幅は$\dfrac{2}{5}l$となります.

ついでに,手をはなした時刻を$t=0$とすれば,時刻$t$におけるBの座標$x_{\rm B}$の位置は

$x_{\rm B}=\dfrac{2}{5}l\cos\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}t$ $\dots (\ast)$

です!

(4)

NEKO
NEKO

同じく,Aの方の運動方程式も立てましょう.

自然長の位置を原点として,伸びる方向に座標をとります.

位置$x_{\rm A}$における加速度を$a_{\rm A}$として,

★ 物体Aの運動方程式

$2ma_{\rm A}=-\dfrac{5}{3}kx_{\rm A}$

NEKO
NEKO

この運動方程式から,中心座標は$x_{\rm A}=0$,角振動数$\omega_{\rm A}$は

$\omega_{\rm A}=\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}$

となります.

$\omega_{\rm A}=\omega_{\rm B}$となってるね!

だから,周期も同じ$T_{\rm A}=2\pi\sqrt{\dfrac{6m}{5k}}$となります.

振幅は$\dfrac{3}{5}l$なので,時刻$t$における座標$x_{\rm A}$は

$x_{\rm A}=\dfrac{3}{5}l\cos\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}t$ $\dots (2\ast)$

となります.

(5)

PHYさん
PHYさん

(3)(4)で求めた$(\ast)$と$(2\ast)$の式

$x_{\rm B}=\dfrac{2}{5}l\cos\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}t$

$x_{\rm A}=\dfrac{3}{5}l\cos\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}t$

をそれぞれ$t$微分すれば速度ができますが,ここで注意することがあります.

Aの座標は左方向を正としましたが,問題文では,右方向が正であると指定されています.

なので,$(2\ast)$の式を$t$で微分をした後に座標が逆向きであることを考慮してさらに$-$をとる必要があります.

NEKO
NEKO

こういうのは”あるある”だよね.

自分の設定したものと問題文の設定がことなるっていう..

じゃあ,

$\dfrac{dx_{\rm B}}{dt}=-\dfrac{2}{5}l\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}\sin\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}t$

$\dfrac{dx_{\rm A}}{dt}=-\dfrac{3}{5}l\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}\sin\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}t$

から,BとAの速度$v_{\rm B}$と$v_{\rm A}$はそれぞれ

$v_{\rm B}=\dfrac{dx_{\rm B}}{dt}=-\dfrac{2}{5}l\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}\sin\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}t$

$v_{\rm A}=-\dfrac{dx_{\rm A}}{dt}=\dfrac{3}{5}l\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}\sin\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}t$

となるんだね.

(6)

PHYさん
PHYさん

最後に,重心からみた運動量の和が0であることを確かめます.

実際はこれを用いて(5)を求めてもよいです.

重心からみた運動量の和が0になる理由がわからない方は,こちらの記事を読んでみてください.

★ 重心から見た運動量の和

$\eqalign{3mv_{\rm B}+2mv_{\rm A}&=3m(-\dfrac{2}{5}l\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}\sin\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}t)+2m(\dfrac{3}{5}l\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}\sin\sqrt{\dfrac{5k}{6m}}t)\\&=0}$

NEKO
NEKO

確かに運動量の和は0となったね!

ちなみに今回は時間とともに次の振動します.

コメント

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