回折格子演習1

分野別
問題

上図のように,格子定数$d$の回折格子がある.

この回折格子に波長$\lambda$の単色光の平行光線を垂直に当てたところ,スクリーン上に明線ができた.

上図は光を当てた方向から角度$\theta$の方向に明線ができたときの様子を表している.

上図(明線の位置は等間隔に見えるが,実際は等間隔ではない.)のようにスクリーンには7本の明線ができたとき,次の問いに答えよ.

(1) 角度$\theta(0<\theta<\dfrac{\pi}{2})$の方向に明線ができる条件を$d$,$\lambda$,$\theta$,整数$m$を用いて表せ.

(2) スクリーンに明線が7本観測できたとき,$d$と$\lambda$の間に成り立つ不等式をかけ.

<解答>

(1) 

NEKO
NEKO

明線ができるには,隣り合う光線の位相(振動のタイミング)が合えばよいね.

位相が合うには,隣り合う光線の経路差の中にちょうど1個分,2個分,3個分,・・・,というように,整数個分の波があればタイミングがあって,明線ができます.

波の数

波の波長を$\lambda$(波1個分の長さ),波の個数を$N$,波全体の長さを$\Delta L$とすると,次の関係式が成り立つ.

$\Delta L=N\cdot \lambda$

$\therefore N=\dfrac{\Delta L}{\lambda}$

NEKO
NEKO

上図のように,隣り合う光線の経路差は$d\sin\theta$となります.

この中に整数個の波があればよいので

★ 明線条件

$\dfrac{d\sin\theta}{\lambda}=m$

答えは,$d\sin\theta=m\lambda$

(2) 

NEKO
NEKO

(1)からわかる通り,$|m|$は波の数を表しています.

NEKO
NEKO

つまり,$m=0$の明線は,波の数の差がない明線です.

$m=1$や$m=-1$は,経路差の中にある波の数が1個であるということを表しています.

$m=2$や$m=-2$は,経路差の中にある波の数が2個であるということを表しています.

$m=3$や$m=-3$は,経路差の中にある波の数が3個であるということを表しています.

さて,経路差の中に入る波の数は永遠に多くなってくでしょうか?

これは,隣り合う光線の距離が$d$であることから,経路差にある波の数は有限であると予想できます.

実際

$d\sin\theta =m\lambda$

$\therefore \sin\theta=\dfrac{m\lambda}{d}$

を満たす$\theta$は$\sin\theta$が$-1<\sin\theta <1$であることから

$-1<\dfrac{m\lambda}{d}<1$

(ちなみに,$\sin\theta =1,-1$,すなわち$\theta =90°,-90°$の方向にはスクリーンがないので,除きました.)

さらに変形して

$-\dfrac{d}{\lambda}<m<\dfrac{d}{\lambda}$

そこで,$m=3$の明線が生じるが,$m=4$の明線が生じない条件は次のようになります.

$3<\dfrac{d}{\lambda}$ かつ $\dfrac{d}{\lambda}\leqq 4$

まとめて

$\dfrac{d}{4}\leqq \lambda <\dfrac{d}{3}$ (答)

コメント

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