<解説>
まずは,明線の条件から考えてみましょう.
回折格子は多数のすじを通る光線のすべての位相が観測点で一致するときに強め合います.
隣り合う光線の経路差は次のようになります.
経路差である$d\sin\theta$の中に整数個分の波があれば,位相(タイミング)が合い,光は強め合います.
波の数は次のように数えることを覚えておくとよいでしょう.
屈折率$n$のガラスに入ったときの波長はもとの$\dfrac{1}{n}$になることに注意です.
★ 経路差にある波の数
経路差の中にある波の数を$N$とする.
$N=\dfrac{d\sin\theta}{\dfrac{\lambda}{n}}=\dfrac{nd\sin\theta}{\lambda}$
★ 明線条件
$m$を整数として
$N=m$
したがって
$\eqalign{\dfrac{nd\sin\theta}{\lambda}&=m\cr \sin\theta &=\dfrac{m\lambda}{nd}}$
この式に,$n=1.5$,$d=1.6×10^{-6} \rm m$,$\lambda=6.0×10^{-7} \rm m$を代入してみましょう.
$\eqalign{\sin\theta&=\dfrac{m\cdot 6.0×10^{-7}}{1.5\cdot 1.6×10^{-6}}\\&=\dfrac{1}{4}m}$ $\dots (\ast)$
$-1<\sin\theta<1$の条件から
$-1<\dfrac{1}{4}m<1$
$-4<m<4$
となり,$m=-3 , -2 , -1 , 0 , 1 , 2 , 3$の計7本の明線が観測できそうです.($m=4 , -4$は観測からはずしました.)
しかし,実際はこれよりもさらに少ない明線しか観測できません.
問題文にも書かれているけど,回折光が空気中にすべてでるわけではないんだね.
全反射しないための条件を考えないとだね.
では,臨界角の計算からしていきましょう.
臨界角を$\theta_{\rm C}$として,屈折の法則の式を立てます.
★ 屈折の法則
$\eqalign{1.5\cdot \sin\theta_{\rm C}&=1\sin90^{\circ}\\ \sin\theta_{\rm C}&=\dfrac{2}{3}}$
じゃあ,全反射しない条件は$\sin\theta<\dfrac{2}{3}$だね.
反対側の光線も考えて
$-\dfrac{2}{3}<\sin\theta<\dfrac{2}{3}$
に$(\ast)$の$\sin\theta=\dfrac{1}{4}m$を代入してみましょう.
★ 明線が観測できる条件
$-\dfrac{2}{3}<\dfrac{1}{4}m<\dfrac{2}{3}$
$\therefore -\dfrac{8}{3}<m<\dfrac{8}{3}$
この不等式を満たす$m$は
$m=-2 , -1 , 0 , 1 , 2 $
したがって,観測できる明線の数は5本
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