ホイートストンブリッジ回路の平衡条件(必要十分を示す)

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ホイートストンブリッジ回路の平衡条件

上図に回路において,スイッチを閉じたときに検流計に電流が流れなかった.

このとき,抵抗$R_{1}$,$R_{2}$,$R_{3}$,$R_{4}$の間に次の関係が成り立つ.

$\dfrac{R_{1}}{R_{2}}=\dfrac{R_{3}}{R_{4}}$

($R_{1}R_{4}=R_{2}R_{3}$)

逆に,上の抵抗の関係式が成り立つのであれば,検流計に電流は流れない.

PHYさん
PHYさん

今回は,このホイートストンブリッジ回路の平衡条件の証明をしていきます.

検流計に電流が流れない$\Longrightarrow$$\dfrac{R_{1}}{R_{2}}=\dfrac{R_{3}}{R_{4}}$

PHYさん
PHYさん

検流計に電流が流れないとき,次の3つの条件を使うことができます.

1. $R_{1}$と$R_{3}$に流れる電流は同じ.

2. $R_{2}$と$R_{4}$に流れる電流は同じ.

3. BC間の電位差は0

PHYさん
PHYさん

1.と2.の条件から上図のように,抵抗$R_{1}$と$R_{3}$に流れる電流を$I$,抵抗$R_{2}$と$R_{4}$を流れる電流を$i$とおくことができます.

さらに,BC間の電位差が0であることから,次の2つのことが言えます.

  • AB間の電位差とAC間の電位差が同じ
  • BD間の電位差とCD間の電位差が同じ

この2つの条件を式にしてみましょう.

★ AB間の電位差とAC間の電位差が同じ

$R_{1}I=R_{2}i$ 

$\therefore \dfrac{i}{I}=\dfrac{R_{1}}{R_{2}}$ $\dots (\ast)$

 ★ BD間の電位差とCD間の電位差が同じ

$R_{3}I=R_{4}i$

$\therefore \dfrac{i}{I}=\dfrac{R_{3}}{R_{4}}$ $\dots (2\ast)$

$(\ast)$,$(2\ast)$より

$\dfrac{R_{1}}{R_{2}}=\dfrac{R_{3}}{R_{4}}$

$\dfrac{R_{1}}{R_{2}}=\dfrac{R_{3}}{R_{4}}$$\Longrightarrow$検流計に電流が流れない

PHYさん
PHYさん

$\dfrac{R_{1}}{R_{2}}=\dfrac{R_{3}}{R_{4}}$が成り立つときに,$\rm BC$間に電流が流れないことを示しましょう.

上図のように,抵抗$R_{1}$に流れる電流を$i_{1}$,$R_{2}$に流れる電流を$i_{2}$,検流計の内部抵抗を$r$として,$\rm BC$間に流れる電流を$I$と設定しましょう.

キルヒホッフ第1法則を考えれば,$R_{3}$に流れる電流は$i_{1}-I$,$R_{4}$に流れる電流は$I+i_{2}$となります.

最終目標は$I=0$を示すことです.

それでは,次の3つの経路のキルヒホッフ則(電圧降下の式)を立てましょう.

★ ①のキルヒホッフ則

$E-R_{1}i_{1}-rI+R_{2}i_{2}=E$

$\therefore$ $R_{1}i_{1}-R_{2}i_{2}+rI=0$ $\dots (3\ast)$

★ ②のキルヒホッフ則

$\eqalign{E-R_{2}i_{2}-R_{4}(I+i_{2})&=0\cr (R_{2}+R_{4})i_{2}&=E-R_{4}I\cr i_{2}&=\dfrac{E-R_{4}I}{R_{2}+R_{4}} \dots (4\ast)}$

★ ③のキルヒホッフ則

$\eqalign{E-R_{1}i_{1}-R_{3}(i_{1}-I)&=0\cr (R_{1}+R_{3})i_{1}&=E+R_{3}I\cr i_{1}&=\dfrac{E+R_{3}I}{R_{1}+R_{3}} \dots (5\ast)}$

$(4\ast)$の$i_{2}=\dfrac{E-R_{4}I}{R_{2}+R_{4}}$と$(5\ast)$の$i_{1}=\dfrac{E+R_{3}I}{R_{1}+R_{3}}$を$(3\ast)$の$R_{1}i_{1}-R_{2}i_{2}+rI=0$に代入すると

$R_{1}\cdot \dfrac{E+R_{3}I}{R_{1}+R_{3}}-R_{2}\cdot \dfrac{E-R_{4}I}{R_{2}+R_{4}}+rI=0$ $\dots (6\ast)$

PHYさん
PHYさん

さて,ここで$\dfrac{R_{1}}{R_{2}}=\dfrac{R_{3}}{R_{4}}$を使いましょう.

$\dfrac{R_{1}}{R_{2}}=\dfrac{R_{3}}{R_{4}}=k$

とおくと,

$R_{1}=kR_{2}$,$R_{3}=kR_{4}$

となります.

これらを$(6\ast)$に代入します.

$\eqalign{\cancel{k}R_{2}\cdot \dfrac{E+kR_{4}I}{\cancel{k}R_{2}+\cancel{k}R_{4}}-R_{2}\cdot \dfrac{E-R_{4}I}{R_{2}+R_{4}}+rI&=0\cr \cancel{\dfrac{R_{2}E}{R_{2}+R_{4}}}+\dfrac{kR_{2}R_{4}}{R_{2}+R_{4}}I-\cancel{\dfrac{R_{2}E}{R_{2}+R_{4}}}+\dfrac{R_{2}R_{4}}{R_{2}+R_{4}}I+rI&=0\cr (\dfrac{kR_{2}R_{4}}{R_{2}+R_{4}}+\dfrac{R_{2}R_{4}}{R_{2}+R_{4}}+r)I&=0}$

$\dfrac{kR_{2}R_{4}}{R_{2}+R_{4}}+\dfrac{R_{2}R_{4}}{R_{2}+R_{4}}+r\neq 0$より,$I=0$.

NEKO
NEKO

こっちの方がよく使うイメージだけど,割と面倒な計算になるんだね.

これは覚えておいた方がいいな..

コメント

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