<解答>
(1)
糸が切れる直前は円板Dとともに回転している観測者からみると,まだつりあっているので,つり合いの式を立てましょう.
張力の大きさを$T$とします.
また,ばねの伸びを$x$とすると,弾性力の大きさは$kx$で原点の方向にはたらきます.
さらに,観測者が物体とともに回転しているので,遠心力を考えましょう.
遠心力$f=mr\omega^{2}$の$r$は回転半径であることに注意です.
Aの物体は回転半径$l_{0}+x$なので,遠心力の大きさ$f_{\rm A}$は
$f_{\rm A}=m(l_{0}+x)\omega_{0}^{2}$
です.
また,Bの物体は回転半径が$l_{0}+x+\dfrac{l_{0}}{2}$なので,遠心力の大きさ$f_{\rm B}$は
$\eqalign{f_{\rm B}&=\dfrac{m}{2}(l_{0}+x+\dfrac{l_{0}}{2})\omega_{0}^{2}\\&=\dfrac{m}{2}(x+\dfrac{3}{2}l_{0})\omega_{0}^{2}}$
水平方向の力を作図すると,下図のようになります.
AとBのつり合いの式を立てましょう.
★ 円板とともに回転した観測者からみたAの水平方向のつり合いの式
$kx=m(l_{0}+x)\omega_{0}^{2}+T$ $\dots (\ast)$
★ 円板とともに回転した観測者からみたBの水平方向のつり合いの式
$T=\dfrac{m}{2}(x+\dfrac{3}{2}l_{0})\omega_{0}^{2}$ $\dots (2\ast)$
$(\ast)$,$(2\ast)$より,張力$T$を消去して
$\eqalign{kx&=m(l_{0}+x)\omega_{0}^{2}+\dfrac{m}{2}(x+\dfrac{3}{2}l_{0})\omega_{0}^{2}\\&=\dfrac{1}{2}m\omega_{0}^{2}(2l_{0}+2x+x+\dfrac{3}{2}l_{0})\\&=\dfrac{1}{2}m\omega_{0}^{2}(3x+\dfrac{7}{2}l_{0})\\&=\dfrac{1}{4}m\omega_{0}^{2}(6x+7l_{0})}$
両辺$4$をかけて,$x$について整理する.
$\eqalign{4kx&=6m\omega_{0}^{2}x+7ml_{0}\omega_{0}^{2}\cr (4k-6m\omega_{0}^{2})x&=7ml_{0}\omega_{0}^{2}\cr x&=\dfrac{7ml_{0}\omega_{0}^{2}}{4k-6m\omega_{0}^{2}}}$ (答)
(2)
単振動の情報を読み取るために,運動方程式を立てましょう.
座標$x$における,加速度を$\alpha$とします.
このとき,はたらく力は弾性力と遠心力のみです.
★ 円板とともに回転する観測者からみたAの運動方程式
$\eqalign{m\alpha &=-kx+m(l_{0}+x)\omega_{0}^{2}\\&=-kx+ml_{0}\omega_{0}^{2}+m\omega_{0}^{2}x\\&=-(k-m\omega_{0}^{2})x+ml_{0}\omega_{0}^{2}\\&=-(k-m\omega_{0}^{2})(x-\dfrac{ml_{0}\omega_{0}^{2}}{k-m\omega_{0}^{2}})}$
単振動の運動方程式から次のことが読み取れます.
したがって,振動の中心$x_{0}$は
$x_{0}=\dfrac{ml_{0}\omega_{0}^{2}}{k-m\omega_{0}^{2}}$(答)
(3)
さらに,運動方程式から角振動数$\Omega$も読み取ることができます.
$\omega_{0}$は円板の角速度であって,円板からみたAの単振動の角振動数ではないですからね.
$\Omega=\sqrt{\dfrac{k-m\omega_{0}^{2}}{m}}$ (答)
以上,2021年東京理科大の問題の類題でした.
コメント
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