[演習]重心不変1

分野別
重心

座標$x_{1}$,$x_{2}$にそれぞれ質量$m_{1}$,$m_{2}$の物体がある.

このときの重心の位置$x_{\rm G}$は

$x_{\rm G}=\dfrac{m_{1}x_{1}+m_{2}x_{2}}{m_{1}+m_{2}}$

NEKO
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さらに,重心速度や重心加速度も定義できます.

重心加速度

加速度$a_{1}$,$a_{2}$をもつ質量$m_{1}$,$m_{2}$の物体がある.

このときの重心加速度$a_{\rm G}$は

$a_{\rm G}=\dfrac{m_{1}a_{1}+m_{2}a_{2}}{m_{1}+m_{2}}$

NEKO
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ここから次のように変形して,重心の運動方程式を作ります.

重心の運動方程式

質量$m_{1}$,$m_{2}$の物体の重心の加速度を$a_{\rm G}$とする.2つの物体にはたらいている力をそれぞれ$F_{1}$,$F_{2}$とすると,次の式が成り立つ.

$(m_{1}+m_{2})a_{\rm G}=F_{1}+F_{2}$

NEKO
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これらを踏まえた上で,重心不変とはなにかを説明しましょう.

重心不変

はじめ,重心が静止していて,その後,ある成分について力の和が0であるとき,その成分の重心は静止したままである.

NEKO
NEKO

要するに,はじめ重心が止まっていて,そこに力がはたらかないんだったら,重心は動かないで止まったままだよね,という話です.

それでは,重心不変の問題を解いていきましょう.

問題

図のように,水平でなめらかな床の上になめらかで水平な上面をもつ長さ$l$の板が静止している.板の左端に人が静止して,ゆっくりと板の上を歩き,板の右端まで到達した.このとき,板と人は水平な床からみてどれだけ移動したか.ただし,板の質量を$M$,人の質量を$m$とする.

<解答>

NEKO
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人が板の上を歩くとき,板を蹴って進んでいます.このときに,水平方向にはたらく力の和が0になるので,重心が変化しませんね.

そこで,床から見た板の変位を$\varDelta X$,人の変位を$\varDelta x$とします.

変位とは,位置の変化分のことです.

NEKO
NEKO

変位を利用した重心不変は次の2式を立てましょう.

変位を用いた重心不変

重心不変の条件を満たすとき,次の2式を立てる.

1. 重心不変の式,つまり,重心の変化が0である式を立てる.

2. 相対変位の式

★ 重心不変の式

重心変化は0なので

$0=\dfrac{M\varDelta X+m\varDelta x}{M+m}$

$\therefore \varDelta X=-\dfrac{m}{M}\varDelta x$ $\dots (\ast)$

NEKO
NEKO

相対変位は,次のように図をかいて矢印を追うと簡単だね.

$\varDelta X+l=\varDelta x$ $\dots (2\ast)$

※ $l$は床からみて移動した距離ではなく,板から見て移動した距離です.

$(\ast)$,$(2\ast)$より$\varDelta X$を消去して$\varDelta x$を求めると

$\eqalign{-\dfrac{m}{M}\varDelta x+l&=\varDelta x\cr\left(1+\dfrac{m}{M}\right)\varDelta x&=l\cr \dfrac{M+m}{M}\varDelta x&=l\cr \varDelta x&=\dfrac{M}{M+m}l}$

さらに,$\varDelta x=\dfrac{M}{M+m}l$を$(\ast)$に代入して

$\varDelta X=-\dfrac{m}{M}\cdot \dfrac{M}{M+m}l=-\dfrac{m}{M+m}l$

以上から,人は床から見て図の右向きに,$\dfrac{M}{M+m}l$(答)移動し,板は図の左向きに$\dfrac{m}{M+m}l$だけ移動した.(答)

コメント

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