導体棒のグラフ対策4  電流の時間変化

分野別
問題

図のように水平面に平行な面に導体レールp , qが距離$l$を隔てて平行に固定されている.レールp , qに垂直に質量$m$の導体棒を置き,レールp , qに抵抗値$R$の抵抗と電気容量$C$の帯電していないコンデンサー,スイッチSを接続した.スイッチははじめ開かれている. 鉛直上向きに磁束密度$B$の一様な磁場をかけ, 導体棒を図の右方向に速度$v_{0}\,(>0)$を保つように外力を加え,導体棒はつねに導体レールに垂直になるように動いている.時刻$0$において,スイッチSを閉じた後の回路に流れる電流の時間変化(電流を$i$,時刻を$t$とする.)として正しいものを次の中から選べ.ただし,電流は図のa→b→c→dを正の向きとする.

PHYさん
PHYさん

グラフの問題は「感覚的に選ぶ」のではなく,「式を立てて考察する」癖をつけましょう.

確認すべきことは,今までの導体棒の問題と一緒です.

今回は,導体棒が起電力一定の直流電池ということを見抜けば,計算せずともグラフが予想できるはずです.

導体棒に生じる誘導起電力の公式(直線運動)

PQ間に生じる誘導起電力の大きさ$V_{\rm{PQ}}$は,PQの長さを$l$,PQ方向に垂直な速さを$v_{\perp}$,導体棒が動く方向と垂直な磁束密度の大きさを$B$とすれば,

$V=v_{\perp}Bl$

導体棒の問題で立てて欲しい3つの式
  1. 回路の式(オームの法則,コンデンサーの基本式,電荷保存則など)
  2. 導体棒の運動に関する式(つり合いの式,運動方程式,運動量保存則など)
  3. 導体棒と回路の系全体のエネルギー収支の式
NEKO
NEKO

今回は,導体棒に無理やり速度が$v_{0}$になるように外力が加えられているので,運動方程式を立てる意味はなさそうだね.

コンデンサーがあるので,

キルヒホッフ則

コンデンサーの式

電流の定義式

を立てて解きましょう.

電流の定義式については,次の記事で$「+」$がつくのか,$「-」$がつくのかを説明しています.

電気容量の定義式

コンデンサーに蓄えられている電荷を$Q$,コンデンサー間の電圧を$V$とすれば,コンデンサーの電気容量$C$は

$C=\dfrac{Q}{V}$

実際は

$Q=CV$

として使うことが多い.

★ $t=0$における電流の大きさ

NEKO
NEKO

時刻0では,まだコンデンサーの電荷が0なので,コンデンサー間の電位差は0です.すると,キルヒホッフ則より,回路に流れる電流$i_{0}$は

$v_{0}Bl-Ri_{0}$

$i_{0}=\dfrac{v_{0}Bl}{R}$ $\cdots (\ast)$

となります.

電流が流れることで,図のコンデンサーの右側の電荷がプラスに帯電しそうだね.

★ 時刻$t$における回路の式

NEKO
NEKO

導体棒の起電力の大きさと向きは図の通りです.

時刻$t$において,コンデンサーに電荷$q$が帯電していて,回路に電流$i$が流れているとしましょう.コンデンサーにかかる電圧を$V$として,

・キルヒホッフ則

・コンデンサーの式

・電流の定義式

を立てます.

キルヒホッフ則より

$v_{0}Bl-V-Ri=0$ $\cdots (2\ast)$

コンデンサーの式より

$q=CV$ $\therefore V=\dfrac{q}{C}$ $\cdots (3\ast)$

$(3\ast)$を$(2\ast)$に代入して

$v_{0}Bl-\dfrac{q}{C}-Ri=0$

$\therefore q=CBlv_{0}-RCi$ $\cdots (4\ast)$

さらに,電流の定義式より($+q$に入りこむ向きが電流の正の向きになっている)

$i=\dfrac{\varDelta q}{\varDelta t}$ $\cdots (5\ast)$

$(4\ast)$を$(5\ast)$に代入して,$q$を消去すると

$\eqalign{i&=\dfrac{\varDelta }{\varDelta t}\left( CBlv_{0}-RCi \right)\\&=-RC\dfrac{\varDelta i}{\varDelta t}}$

NEKO
NEKO

この式の形は運動方程式ではないけども「終端速度型」だね.

数学的には,次の記事のように解けるけど,

今までの運動方程式の形と同様に,

・$t=0$のときの$i-t$グラフの傾き

・$t\to\infty$では$i-t$グラフの傾きが0になる.すなわち,$\dfrac{\varDelta i}{\varDelta t}=0$になることから,$t\infty$での$i$の計算

をします.

$i= -RC\dfrac{\varDelta i}{\varDelta t} $ $\cdots (6\ast)$

について,$t=0$のとき,$(\ast)$より,回路に流れる電流$i_{0}$は

$i_{0}= \dfrac{v_{0}Bl}{R} $

なので,このときの$\dfrac{\varDelta I}{\varDelta t}$は$(6\ast)$より

$ \dfrac{v_{0}Bl}{R} = -RC\dfrac{\varDelta i}{\varDelta t} $

$\therefore \dfrac{\varDelta i}{\varDelta t}=-\dfrac{v_{0}Bl}{R^{2}C}\,(<0)$

NEKO
NEKO

つまり,電流がだんだんと小さくなるんだね.

$t\to\infty$のとき,$\dfrac{\varDelta i}{\varDelta t}=0$であるから,このときの電流$i_{\infty}$は$(6\ast)$より

$i_{\infty}=0$

NEKO
NEKO

つまり,最終的には電流が流れなくなるんだね.

導体棒の起電力が一定の直流電池であると考えれば,当たり前の結果だね.

答えは,②(答)です.

コメント

  1. […] […]

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