マイケルソン干渉計演習2

波動
問題

図のような干渉計が空気中におかれている.光源から出て進む単色光が,入射光線に対して,$45^{\circ}$傾けた半透鏡(ハーフミラー)に達し,一部は反射し,残りは透過する.このうち,半透鏡で反射したのち,鏡$\rm M_{1}$で反射した後,半透鏡を透過して検出器に至る光線をaとする.一方,半透鏡を透過し,鏡$\rm M_{2}$で反射した後,半透鏡で反射して検出器に至る光線をbとする.

鏡$\rm M_{1}$は固定されているが,鏡$\rm M_{2}$は光線bの経路と平行な方向に動かすことができる.空気の光線の波長を$\lambda_{0}$とし,空気の屈折率を$1.0$とする.

はじめ,半透鏡と鏡$\rm M_{1}$との距離は$L_{1}$で,半透鏡と鏡$\rm L_{2}$であり,$L_{2}>L_{1}$であった.

$\rm M_{2}$を少しずつ半透鏡に近づけると,検出される光の強度は単調に増加し,はじめの位置から$\varDelta L$移動させると光の強度は最大となった.逆に,$\rm M_{2}$を半透鏡から遠ざけると光の強さは単調に減少し,$\varDelta L$だけ動かしたとき,光の強度は最小となった.このとき,$\lambda_{0}$を$\varDelta L$を用いて表せ.

NEKO
NEKO

干渉による位相差の条件をまとめると次のようになります.

位相差による干渉条件のまとめ

地点Pにおける2つの波の位相差を$\phi$,整数を$m$とすると,

強め合いの条件:$\phi=2\pi m$

弱め合いの条件:$\phi=(2m+1)\pi $

位相差$\phi$は次の3つの要素で決まる.

$\phi_{1}$:初期位相のずれ

 同位相なら$\phi_{1}=0$,逆位相なら$\phi_{1}=\pi$

$\phi_{2}$:反射による位相のずれ

 自由端反射なら$\phi_{2}=0$,固定端反射なら$\phi_{2}=\pi$

$\phi_{3}$:距離の差(屈折率が変わることで生じる光学的な距離の差を含む)による位相のずれ

 距離の差が$\Delta l$のとき,次の比例式を立てて,位相差$\phi_{3}$を計算する.

$2\pi : \lambda =\phi_{3} : \Delta l$

$\therefore \phi_{3}=\dfrac{2\pi}{\lambda}\Delta l$

このとき,位相差$\phi$は

$\phi=\phi_{1}+\phi_{2}+\phi_{3}$

NEKO
NEKO

はじめの位置から左にずらすと,光の強度が増加して,右にずらすと,光の強度が減少するから,はじめの位置は強め合いでも弱め合いでもなかったんだね.

位相差と振幅の関係については,こちらを参考にしてください.

NEKO
NEKO

はじめの位置での光路差は往復分を考慮して,$2(L_{2}-L_{1})$だったね.ここから,$\varDelta L$だけ半透鏡に近づけたときの位相差を整数$m$を用いて,$2\pi m$と表しましょう(強め合うから).すると,はじめの位置から $\varDelta L$だけ半透鏡に遠ざけたときの位相差は,$2\pi m+\pi$となるね(弱め合うから).

これを式にしましょう.

※ 実際は半透鏡での反射によって,2経路の位相差が$\pi$分ずれ,強め合いの条件と弱め合いの条件が真逆になりますが,差をとると同じ答えが出ます.

★ 強め合いの条件

$\dfrac{2\pi}{\lambda_{0}}\times \left\{2(L_{2}-L_{1}-\varDelta L)\right\}=2\pi m$ $\cdots (\ast)$

★ 弱め合いの条件

$\dfrac{2\pi}{\lambda_{0}}\times\left\{ 2(L_{2}-L_{1}+\varDelta L)\right\}=2\pi m+\pi$ $\cdots (2\ast)$

NEKO
NEKO

$(2\ast)-(\ast)$を計算してみましょう.

$(2\ast)-(\ast)$より

$\dfrac{2\pi}{\lambda_{0}}\times 4\varDelta L=\pi$

$\lambda_{0}=8\varDelta L$ (答)

コメント

タイトルとURLをコピーしました