<解答>
ポイントは次の3つ
- 万有引力のみがはたらくとき,力学的エネルギー$E=0$の運動は放物線を描く.
- 焦点と準線による放物線の定義から放物線の式を導出
- 万有引力のみはたらくので,面積速度一定である.したがって,(面積)$=$(面積)$\times$(面積速度)が成り立ち,この式より,時間を求める.
万有引力を受ける運動の力学エネルギー$E$の値による分類
万有引力を受ける運動は力学的エネルギー$E$の値によって分類できます.
今回は,$(R,0)$での力学的エネルギーが
$E=\dfrac{1}{2}m\left(\sqrt{\dfrac{2GM}{R}}\right)^{2}-\dfrac{GMm}{R}=0$
なので,放物線を描きます.
焦点と準線による放物線の定義から放物線の式を導出
放物線は次のように定義できます.
今回,焦点はO$(0,0)$で準線は$x=2R$です.
質量$m$の物体の位置をP$(x,y)$とすると,Pから準線に下した垂線の交点Hは$(2R,y)$となります.したがって,放物線の定義$\rm OP=PH$から
$\sqrt{x^{2}+y^{2}}=2R-x$
両辺$2$乗して整理すると
$x=-\dfrac{y^{2}}{4R}+R$
この式より,$y$軸との交点は$y=2R$であることがわかります.
次に$x$軸,$y$軸と放物線で囲まれた部分の面積(第一象限部分)の面積$S$を求めます.
$\eqalign{S&=\int_{0}^{2R}xdy=\int_{0}^{2R}\left(-\dfrac{y^{2}}{4R}+R\right)dy\\&\left[-\dfrac{y^{3}}{12}+Ry\right]_{0}^{2R}=\dfrac{4}{3}R^{3}}$
面積速度を用いて時間を求める
面積速度$\times$微小時間$=$微小時間に通過した面積
より,
面積速度$\times $周期$=$1周して通過した面積の和
$S=\dfrac{4}{3}R^{2}$で,面積速度は$A=\dfrac{1}{2}R\sqrt{\dfrac{2GM}{R}}$なので,求める時間$t$は
$t=\dfrac{S}{A}=\dfrac{\dfrac{4}{3}R^{2}}{\dfrac{1}{2}R\sqrt{\dfrac{2GM}{R}}}=\dfrac{4}{3}R\sqrt{\dfrac{2R}{GM}}$
したがって,答えは$t=\dfrac{4}{3}R\sqrt{\dfrac{2R}{GM}}$
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