[標準]単振動の演習問題⑤ 単振動のエネルギー保存

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NEKO
NEKO

“単振動のエネルギー”は普通の力学的エネルギーとは違うの?

PHYさん
PHYさん

同じであることもありますが,基本的には違います.単振動のエネルギーは単振動の運動方程式

$ma=-k(x-x_{0})$

$\dfrac{1}{2}mv^2+\dfrac{1}{2}k(x-x_0)^2=$一定

と変形したものです.

NEKO
NEKO

たとえば,ばねによる単振動だったら,中心が自然長じゃないときは,$\dfrac{1}{2}k(x-x_{0})^2$は弾性エネルギーじゃないんだね.

単振動の運動方程式から変形しているということは,摩擦力がはたらいても,単振動のエネルギーは保存するっていうこと?

PHYさん
PHYさん

はい.保存します.なので,単振動のエネルギー保存は

① 運動方程式を立てる

② 運動方程式からエネルギー保存をつくる

のステップで立てるとよいでしょう.②のステップはまともに考えると難しいので,形を覚えておくとよいでしょう.

では,単振動のエネルギー保存の導出の説明をします.

<準備>

時刻$t$において物体の座標が$x$,速度が$v$,加速度が$a$のとき,次の関係が成り立ちます.

$va=\dfrac{d}{dt}(\dfrac{1}{2}v^2)$$vx=\dfrac{d}{dt}(\dfrac{1}{2}x^2)$

理由は,実際にそれぞれの右辺を計算してみればよいでしょう.

$\dfrac{d}{dt}(\dfrac{1}{2}v^2)=\dfrac{1}{2}\cdot 2v\cdot a=va$

$\dfrac{d}{dt}(\dfrac{1}{2}x^2)=\dfrac{1}{2}\cdot 2x\cdot v=va$

この計算は合成関数の微分を使っています.また,$\dfrac{dv}{dt}=a$,$\dfrac{dx}{dt}=v$も使いました.ちなみに,次のような形にも変形できます.

$v(x-x_0)=\dfrac{d}{dt}(\dfrac{1}{2}(x-x_{0})^2)$

こちらも確認しておきましょう.

$\dfrac{d}{dt}(\dfrac{1}{2}(x-x_{0})^2)=\dfrac{1}{2}\cdot 2(x-x_0)v=v(x-x_0)$

<変形の仕方>

運動方程式$ma=-k(x-x_{0})$の両辺に$v$をかけます.(正確には内積をとる)

$mva=-kv(x-x_0)$

ここで<準備>で確認した変形をします.$m$や$v$も中に入れてしまいましょう.

$\eqalign{\dfrac{d}{dt}(\dfrac{1}{2}mv^2)&=-\dfrac{d}{dt}(\dfrac{1}{2}k(x-x_0)^2)\cr\dfrac{d}{dt}(\dfrac{1}{2}mv^2+\dfrac{1}{2}k(x-x_0)^2)&=0\cr \dfrac{1}{2}mv^2+\dfrac{1}{2}k(x-x_0)^2)&=一定}$

これで完成です.さて,割と複雑な変形なので,問題を解くときにこれを頭を使って計算したのでは大変です.なので,運動方程式

$ma=-k(x-x_0)$

の形をみたら

$\dfrac{1}{2}mv^2+\dfrac{1}{2}k(x-x_0)^2=$一定

と変形できるということをあらかじめ覚えておくとよいでしょう.

単振動のエネルギー保存

単振動の運動方程式が

$ma=-k(x-x_{0})$

になるとき,単振動のエネルギー保存

$\dfrac{1}{2}mv^{2}+\dfrac{1}{2}k(x-x_{0})^{2}=$一定

が成り立つ.

※ $(x-x_{0})^{2}$は中心からの距離の2乗を表している.自然長からの距離ではない.

※ 上記の運動方程式を変形したものなので,摩擦力や重力がはたらいてもその仕事をいれないでよい.

それでは,変形の練習です.

問題5

次の運動方程式を単振動のエネルギー保存の式になおせ.速度は$v$としてよい.

(1) $ma=-kx$

(2) $Ma=-k(x-\dfrac{Mg}{k})$

(3) $(M+m)a=-k(x-\dfrac{M+m}{k}g)$

(4) $ma=-k(x-\dfrac{\mu mg}{k})$

(5) $\rho Sha=-\rho_{0}Sgx$

<解答>

(1) $\dfrac{1}{2}mv^2+\dfrac{1}{2}kx^2=$一定

(2) $\dfrac{1}{2}Mv^2+\dfrac{1}{2}k(x-\dfrac{Mg}{k})^2=$一定

(3) $\dfrac{1}{2}(M+m)v^2+\dfrac{1}{2}k(x-\dfrac{M+m}{k}g)^2=$一定

(4) $\dfrac{1}{2}mv^2+\dfrac{1}{2}k(x-\dfrac{\mu mg}{k})^2=$一定

(5) $\dfrac{1}{2}\rho Sh v^2+\dfrac{1}{2}\rho_{0}Sgx^2=$一定

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