物理のエッセンス解説 電磁気-55

PHYさん
PHYさん

物理のエッセンスでよく質問される問題を解説します.

問題文は物理のエッセンスを読んでください.

<解説>

PHYさん
PHYさん

この手の問題は基本問題を扱う問題集・参考書であれば必ずといっていいほど載っているのですが,図がどのようになっているのかが把握できない,という声が多いです.

まず,今回のキーとなる,直線電流がつくる磁場について確認しておきましょう.

十分長い直線電流がつくる磁場

十分長い直線電流が距離$r$の位置につくる磁場$H_{1}$は,導線に流れる電流の大きさを$I_{1}$とすると

$H_{1}=\dfrac{I_{1}}{2\pi r}$

向きは右ねじの法則にしたがいます.

※ 右ねじの法則は右手の親指→電流,4本指→磁場 です.

PHYさん
PHYさん

電流が流れると右ねじ(電流が右手親指,右手4本指が磁場)の法則に従って,磁場をつくります.

まず,この問題では,電流の向きが問われています.これから考えてみましょう.

PHYさん
PHYさん

電流が南から北に流れているのは,図1北から南に流れているのが図2です.

電流によってつくられる磁場は赤色でかかれています.

図1をみると,方位磁針の場所における電流がつくる磁場西方向で,図2では,方位磁針の場所における電流がつくる磁場方向であることが確認できます.

PHYさん
PHYさん

方位磁針の向きをみてみると,北から東に傾いていることがわかります.

方位磁針の向きはその場所の磁場の向きです.

つまり,方位磁針の場所の磁場の向きは北より東方向に$30^{\circ}$傾いていることになります.

PHYさん
PHYさん

もともと地球では,南から北に向かって磁場があります.これを地磁気といいます.地磁気は水平に向いているわけではないので,今回は地磁気の水平成分$H_{\rm G}\,[\rm A/m]$のみを聞いています.

さて,図1では,電流が方位磁針の場所につくる磁場は西方向でした.これと北方向の地磁気(の水平成分)を合成すると,やや西に傾いたものとなります.これでは,つじつまがあいません.

PHYさん
PHYさん

一方,図2の方向に電流が流れている場合,地磁気の場所における電流がつくる磁場は東方向でした.この磁場と地磁気を合成すると北より東向きに傾いた合成磁場になります.

これでしたら,問題文で与えられた磁針の向きと一致しそうですね.

したがって,電流の向きは,「北→南 向き」(答)です.

PHYさん
PHYさん

次に地磁気の水平成分の大きさ$H_{\rm G}\,[\rm A/m]$を求めましょう.

導線に流した電流の大きさが$I_{0}\,[\rm A]$で,導線と磁針の距離が$d$なので,電流が方位磁針の場所につくる磁場の大きさは

$\dfrac{I_{0}}{2\pi d}\,\,[\rm A/m]$

となります.

この磁場と$H_{\rm G}\,[\rm A/m]$を合成すると,北から東方向へ$30^{\circ}$傾くので,次の式を解けばよいでしょう.

$\tan 30^{\circ}=\dfrac{\dfrac{I_{0}}{2\pi d}}{H_{\rm G}}$

$\therefore\,\, H_{\rm G}=\dfrac{I_{0}}{2\pi d}\times \dfrac{1}{\tan30^{\circ}}=\dfrac{\sqrt{3}I_{0}}{2\pi d}\,[\rm A/m]$ (答)

PHYさん
PHYさん

次に電流の大きさを$I$にすると,方位磁針の場所における電流がつくる磁場の大きさは

$\dfrac{I}{2\pi d}\,\,[\rm A/m]$

となります.$H_{\rm G}=\dfrac{\sqrt{3}I_{0}}{2\pi d}\,[\rm A/m]$を考慮して上図を参考に三角比を考えましょう

$\tan 60^{\circ}=\dfrac{\dfrac{I}{2\pi d}}{\dfrac{\sqrt{3}I_{0}}{2\pi d}}$

$\therefore\,\, \sqrt{3}\times \dfrac{\sqrt{3}I_{0}}{\cancel{2\pi d}}=\dfrac{I}{\cancel{2\pi d}}$

$\therefore\,\, I=3I_{0}$ (答)

コメント

  1. mr.kittaka より:

    あなたがいなかったら今頃私死んでました、救ってくれて本当にありがとうございます(⁠つ⁠≧⁠▽⁠≦⁠)⁠つ

  2. koichi より:

    この問題は同じ河合出版のらくらくマスター物理 102の基本問題にもありますが理解できませんね。

    方位磁針がなぜ北東に向くのか、おなじく電流の向きを聞かれています。
    銅線は南北に張られ、その真下に方位磁針があります。

    磁場は設問の解説では1個しか書いてないですが、直線電流のどの箇所でも磁場がすべて北から東より30度なのでしょうか。

    直線電流は電流計を使うと無限遠の直線ならどこで測っても何アンペアはかわりませんが。磁場は直線電流の周りに方位磁針を無限に置いた時の、それぞれの針の向きは円形でしょうか。

    • physicmath より:

      >磁場は設問の解説では1個しか書いてないですが、直線電流のどの箇所でも磁場がすべて北から東より30度なのでしょうか。

      直線電流の下側に置くのであれば,そうなります。

      >直線電流は電流計を使うと無限遠の直線ならどこで測っても何アンペアはかわりませんが。磁場は直線電流の周りに方位磁針を無限に置いた時の、それぞれの針の向きは円形でしょうか。

      「それぞれの針の向きは円形~」の意味はわかりませんが,どの場所においても直線電流がつくる磁場は電流の下側であれば同じ向き,大きさと考えることができます。

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