マイケルソン干渉計演習3 波長を変化させる

波動
問題

図のような干渉計が空気中におかれている.光源から出て進む単色光が,入射光線に対して,$45^{\circ}$傾けた半透鏡(ハーフミラー)に達し,一部は反射し,残りは透過する.このうち,半透鏡で反射したのち,鏡$\rm M_{1}$で反射した後,半透鏡を透過して検出器に至る光線をaとする.一方,半透鏡を透過し,鏡$\rm M_{2}$で反射した後,半透鏡で反射して検出器に至る光線をbとする.

鏡$\rm M_{1}$,鏡$\rm M_{2}$は固定されている.空気の光線の波長を$\lambda_{0}$とし,空気の屈折率を$1.0$とする.

半透鏡と鏡$\rm M_{1}$との距離は$L_{1}$で,半透鏡と鏡$\rm L_{2}$であり,$L_{2}>L_{1}$であり,検出器で検出される強度は極大であった.

この状態から波長をゆっくりと増加させたところ,検出される光の強度が次第に弱くなり,波長が$\dfrac{4}{3}\lambda_{0}$になったところ初めて光の強度が極小になった.$L_{2}-L_{1}$を$\lambda_{0}$で表せ.

NEKO
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干渉による位相差の条件をまとめると次のようになります.

位相差による干渉条件のまとめ

地点Pにおける2つの波の位相差を$\phi$,整数を$m$とすると,

強め合いの条件:$\phi=2\pi m$

弱め合いの条件:$\phi=(2m+1)\pi $

位相差$\phi$は次の3つの要素で決まる.

$\phi_{1}$:初期位相のずれ

 同位相なら$\phi_{1}=0$,逆位相なら$\phi_{1}=\pi$

$\phi_{2}$:反射による位相のずれ

 自由端反射なら$\phi_{2}=0$,固定端反射なら$\phi_{2}=\pi$

$\phi_{3}$:距離の差(屈折率が変わることで生じる光学的な距離の差を含む)による位相のずれ

 距離の差が$\Delta l$のとき,次の比例式を立てて,位相差$\phi_{3}$を計算する.

$2\pi : \lambda =\phi_{3} : \Delta l$

$\therefore \phi_{3}=\dfrac{2\pi}{\lambda}\Delta l$

このとき,位相差$\phi$は

$\phi=\phi_{1}+\phi_{2}+\phi_{3}$

NEKO
NEKO

経路差は往復分を考えて,$2(L_{2}-L_{1})$だね.波長が$\lambda$のときの位相差は

$\dfrac{2\pi}{\lambda}\left\{2(L_{2}-L_{1})\right\}$

だから,波長を大きくすると,位相差は小さくなるんだね.

位相差のと光の強度のグラフをかくと次のようになります.

位相差と振幅の関係についてはこちら

NEKO
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仮に,はじめの波長$\lambda_{0}
$のときの位相差が$2m\pi$だったら,波長が$\dfrac{4}{3}\lambda_{0}$のときの位相差は$2m\pi-\pi$ということだね.

※ 実際は半透鏡での反射によって,2経路の位相差が$\pi$分ずれ,強め合いの条件と弱め合いの条件が真逆になりますが,差をとると同じ答えが出ます.

★ はじめの強め合いの条件

$m$を整数として

$\dfrac{2\pi}{\lambda_{0}}\cdot \left\{2(L_{2}-L_{1})\right\}=2\pi m$ $\cdots (\ast)$

★ 波長変化後の弱め合いの条件

$\dfrac{2\pi}{\dfrac{4}{3}\lambda_{0}}\cdot \left\{2(L_{2}-L_{1})\right\}=2\pi m-\pi$ $\cdots (2\ast)$

NEKO
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$(\ast)$,$(2\ast)$より$m$を消去しましょう.

$\eqalign{\dfrac{3\pi}{2\lambda_{0}}\cdot \left\{2(L_{2}-L_{1})\right\}&=\dfrac{2\pi}{\lambda_{0}}\cdot \left\{2(L_{2}-L_{1})\right\}-\pi\cr \dfrac{\cancel{\pi}}{2\lambda_{0}}\left\{2(L_{2}-L_{1})\right\}&=\cancel{\pi}\cr L_{2}-L_{1}&=\lambda_{0}}$

NEKO
NEKO

したがって,答えは,$L_{2}-L_{1}=\lambda_{0}$(答)です.

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