![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫疑問-150x150.jpg)
時間$\Delta t$の間に電流が$\Delta I$変化したとき,コイルの両端の電位の変化はどのように表せばいいの??
![](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/コイル1-1-1024x433.png)
![PHYさん](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/人1-150x150.png)
電流の正の向きを上図のように設定すれば,コイルの自己インダクタンスを$L$として,$V_{1}-L\dfrac{\Delta I}{\Delta t}=V_{2}$とすればいいんです.
![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫疑問-150x150.jpg)
でも,電流が反対方向に流れていたり,電流がだんだんと小さくなっていくときは起電力の向きが逆になるんだよね?少し面倒そう...
![PHYさん](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/人1-150x150.png)
いえ,どんなときでも$V_{1}-L\dfrac{\Delta I}{\Delta t}=V_{2}$で大丈夫です.
![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫わらかない-150x150.jpg)
え!?でも,誘導起電力の向きって電流の増減によって変化するんだよね?そのことは考えなくてもいいの?
![PHYさん](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/人1-150x150.png)
では,順に考えていきましょう.まず,確認することは次のことです.
- 時間$\Delta t$の間に電流が$\Delta I$変化したとする.コイルの自己インダクタンスを$L$とすれば,コイルに生じる自己誘導起電力の大きさ$|V_{L}|$は,$|V_{L}|=L|\dfrac{\Delta I}{\Delta t}|$である.
- 元の電流に戻すような方向に誘導起電力が生じる.
![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫目を開く-150x150.jpg)
コイルは電流の変化を嫌うんだよね!
![PHYさん](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/人1-150x150.png)
はい.その上で次の,[1]電流が正の向きに増加している 場合を考えてみましょう.
![](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/コイル2-1024x399.png)
![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫目を開く-150x150.jpg)
いま,電流がどんどん右方向に増えているから,それをもとにもどそうと左方向に起電力が向いているね!
![PHYさん](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/人1-150x150.png)
その通りです.そして,$\Delta I>0$なので,
$|V_{L}|=|L\dfrac{\Delta I}{\Delta t}|=L\dfrac{\Delta I}{\Delta t}$
となります.
![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫目を開く-150x150.jpg)
だから,$V_{1}-L\dfrac{\Delta I}{\Delta t}=V_{2}$になるんだ!
![PHYさん](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/人1-150x150.png)
次に[2]電流が正の向きに減少しているとき を考えてみましょう.
![](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/コイル3-1024x392.png)
![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫わらかない-150x150.jpg)
電流がどんどん減っているから右方向に起電力が向いているね.
![PHYさん](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/人1-150x150.png)
そうです.電流がたとえば
10A→9A→8A...
と小さくなっていくので,$\Delta I<0$です.だから,誘導起電力の大きさは
$|V_{L}|=L|\dfrac{\Delta I}{\Delta t}|=L\left(-\dfrac{\Delta I}{\Delta t}\right)$
となります.
![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫目を開く-150x150.jpg)
そうか!だから
$\eqalign{V_{1}+L|\dfrac{\Delta I}{\Delta t}|&=V_{2}\\V_{1}+L\left(-\dfrac{\Delta I}{\Delta t}\right)&=V_{2}\\V_{1}-L\dfrac{\Delta I}{\Delta t}&=V_{2}}$
になるんだ!
![PHYさん](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/人1-150x150.png)
そういうことです.結局$V_{1}-L\dfrac{\Delta I}{\Delta t}=V_{2}$となるんです.では次に[3]電流が負の向きに増加しているとき を考えましょう.たとえば
-10A→-11A→-12A...
となっている場合です.これも$\Delta I<0$ですね.
![](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/コイル4-1024x392.png)
![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫目を開く-150x150.jpg)
$(-11)-(-10)=-1$だもんね!そして,負の向きに増加しているから,もとにもどすように起電力は右向きだね.すると,
$\eqalign{V_{1}+L|\dfrac{\Delta I}{\Delta t}|&=V_{2}\\V_{1}-L\dfrac{\Delta I}{\Delta t}&=V_{2}}$
だからまた同じ形だ!
![PHYさん](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/人1-150x150.png)
最後に電流が負の向きに減少してる場合を考えましょう.たとえば
-10A→-9A→-8A...
となっている場合です.
![](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/コイル5-1024x399.png)
![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫目を開く-150x150.jpg)
左方向の電流が小さくなっているから,それをもとに戻すように左方向に起電力が生じているね.$(-9)-(-10)=1$だから,$\Delta I>0$か!だから,
$\eqalign{V_{1}-L|\dfrac{\Delta I}{\Delta t}|&=V_{2}\\V_{1}-L\dfrac{\Delta I}{\Delta t}&=V_{2}}$
やっぱり全く同じ形になった!
![PHYさん](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/人1-150x150.png)
はい.ということで結論です.
![](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/コイル1-1-1024x433.png)
キルヒホッフの法則を立てるとき,電流の向きや増減に関わらず
$V_{1}-L\dfrac{\Delta I}{\Delta t}=V_{2}$
としてよい.
コメント
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