[共通テスト対策問題3] プリズム [物理]

共通テスト対策問題
NEKO
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プリズムの問題はできなくはないけど,時間がかかる!という人はいませんか?

次の問題を通して,次の2つを復習しましょう.

1. 屈折の法則

2. プリズムの問題で着目する3つのこと

問題

下図のように,屈折率$n$の媒質でつくられた頂角$\alpha$のプリズムが置かれている.今,プリズムに単色光を当てる.単色光はA点を入射し,プリズム中を進む.その後,B点を通り抜ける.A点での入射角と屈折角をそれぞれ$\theta_{1}$,$\theta_{1}^{\prime}$,B点での入射角と屈折角をそれぞれ$\theta_{2}^{\prime}$,$\theta_{2}$とする.

A点から入射される光線とB点から出る光線のなす角(偏角)を$\delta$とする.また,プリズムは空気中におかれており,空気の屈折率を1とみなす.以下の問いに答えよ.

(1) A点における屈折の法則を表す式として,適当なものを次の中から選べ.

 $① \sin \theta_{1}=n\cos \theta_{1}^{\prime}$  $② n\sin \theta_{1}=\cos \theta_{1}^{\prime}$

 $③ \cos \theta_{1}=n\cos \theta_{1}^{\prime}$  $④ n\cos \theta_{1}=\cos \theta_{1}^{\prime}$

 $⑤ \sin \theta_{1}=n\sin \theta_{1}^{\prime}$   $⑥ n\sin \theta_{1}=\sin \theta_{1}^{\prime}$

(2) 偏角$\delta$を表したものとして正しいものを次の中から選べ.

 $① \delta=\theta_{1}+\theta_{2}+\alpha$  $② \delta=\theta_{1}-\theta_{2}-\alpha$

 $③ \delta=\theta_{1}+\theta_{2}-\alpha$  $④ \delta=\alpha-\theta_{1}-\theta_{2}$

 $⑤ \delta=\alpha-\theta_{1}+\theta_{2}$  $⑥ \delta=\alpha+\theta_{1}-\theta_{2}$

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解答は一番最後にあるからチェックしてみてくださいね!

それでは,まず,屈折の法則から復習します.

屈折の法則

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屈折の法則は,間違うポイントがたくさんあるから,しっかりと整理しておきましょう.

屈折の法則

光が媒質1に入射し,媒質2へ屈折することを考える.

媒質1の入射角を$\theta_{1}$,波が伝わる速さを$v_{1}$,波長を$\lambda_{1}$,絶対屈折率を$n_{1}$とする.また,媒質2の入射角を$\theta_{2}$,波が伝わる速さを$v_{2}$,波長を$\lambda_{2}$,絶対屈折率を$n_{2}$とする.このとき,次の関係が成り立つ.

$\dfrac{\sin \theta_{1}}{\sin \theta_{2}}=\dfrac{v_{1}}{v_{2}}=\dfrac{\lambda_{1}}{\lambda_{2}}=\dfrac{n_{2}}{n_{1}}$

NEKO
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よくある間違いは次の3つです...

  1. $\dfrac{\sin \theta_{1}}{\sin \theta_{2}}$ではなく,$\dfrac{\theta_{1}}{\theta_{2}}$としてしまう.(近似できるときはこの形もあるんですが..)
  2. 屈折によって,振動数や周期まで変化すると勘違い.実際は屈折によって,振動数や周期は変化しません!
  3. $\dfrac{\sin \theta_{1}}{\sin \theta_{2}}=\dfrac{v_{1}}{v_{2}}=\dfrac{\lambda_{1}}{\lambda_{2}}=\dfrac{n_{1}}{n_{2}}$と覚えている.つまり,屈折率の分母と分子を逆にして覚えている.

特に,3はとても間違いやすいので,次のように覚えておくとよいでしょう.

$n_{1}\sin \theta_{1}=n_{2}\sin \theta_{2}$

$n_{1}v_{1}=n_{2}v_{2}$

$n_{1}\lambda_{1}=n_{2}\lambda_{2}$

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あと,もう1つ!

中学生の頃も同じ間違いをしたかもしれませんが,入射角や屈折角は屈折面に垂直な線,つまり法線からのなす角です!屈折面からのなす角ではありません!

(1)の解答

問題では,法線からのなす角がとられているので,安心して屈折の法則を立てましょう.空気の屈折率が$1$,プリズムの屈折率が$n$なので,屈折の法則より

$1\cdot \sin \theta_{1}=n\cdot \sin \theta_{1}^{\prime} $

つまり,が正解です.

プリズムの問題で着目する3つのこと

NEKO
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プリズムの問題では次の3つのことに気づかないといけません.

① 4点が同一円周上にあることに気づく.

上図のAは入射する点,Bは屈折する点,Pはプリズムの頂点,QはAを通る法線とBを通る法線との交点です.このとき

PAQBは同一円周上にある

ことに気づきましょう.同一円周上にある理由は簡単です.$\angle \rm{PAQ}=\angle \rm{PBQ}=90°$だからです.円周角の定理の逆ですね.

すると,AQの延長線上のQ側の一点をRとして,円に内接する四角形の対角の和が$180°$であることから,次のことが成り立ちます.

$\angle \rm{APB}=\angle \rm{BQR}$

つまり,

$\angle \rm{BQR}=\alpha$

です.

② 外角と内角の和の関係1

次に上図の緑色の三角形に着目します.三角形の外角と内角の和の関係より

$\alpha =\theta_{1}^{\prime}+\theta_{2}^{\prime}$ $\cdots (\ast)$

の関係が成り立ちます.

③ 外角と内角の和の関係2

次にピンクの三角形の外角と内角の関係を考えましょう.

$\delta =(\theta_{1}-\theta_{1}^{\prime})+(\theta_{2}-\theta_{2}^{\prime})$ $\cdots (2\ast)$

(2)の解答

$\alpha =\theta_{1}^{\prime}+\theta_{2}^{\prime}$ $\cdots (\ast)$

$\delta =(\theta_{1}-\theta_{1}^{\prime})+(\theta_{2}-\theta_{2}^{\prime})$ $\cdots (2\ast)$

より,$\theta_{1}^{\prime}$と$\theta_{2}^{\prime}$を消去しましょう.$(2\ast)$より

$\eqalign{\delta &=\theta_{1}+\theta_{2}-(\theta_{1}^{\prime}+\theta_{2}^{\prime})\\&=\theta_{1}+\theta_{2}-\alpha}$

したがって,(2)の答えはです.

問題の解答

(1)  (2) 

NEKO
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今回は屈折の法則とプリズムの偏角の問題でした.

プリズムの偏角の問題は解きなれていないと,時間がかかりそうですね.

プリズムの問題は3つのことに着目して問題を解きましょう!

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