今回の問題は,前回と同じく2つの物体の単振動です.
しかし,少し違うところがあります.
それは,片一方の物体がもう片一方の上にのっているというところです.
この場合は,相対運動を考えた方がわかりやすいです.
<解答>
(1)
板からみた物体の運動方程式です.
板自体が加速度をもっているので,板から物体をみると慣性力がはたらきますね.
★ 板からみた物体の運動方程式
$ma=-kx-mA$ $\dots (\ast)$
(2)
板にはたらく水平方向の力は弾性力のみだね.
この弾性力は物体にはたらく弾性力の向きと逆だよ.
★ 板の運動方程式
$MA=kx$
$\therefore$ $A=\dfrac{kx}{M}$ $\dots (2\ast)$
(3)
$(2\ast)$を$(\ast)$に代入すると,単振動運動方程式の形を得るよ.
$(2\ast)$を$(\ast)$に代入して
$ma=-kx-m\cdot \dfrac{k}{M}=-\dfrac{M+m}{M}kx$
この運動方程式から,振動の中心は$x=0$,角振動数$\omega$は
$\omega=\sqrt{\dfrac{M+m}{Mm}k}$
そして,周期$T$は
$T=\dfrac{2\pi}{\omega}=2\pi\sqrt{\dfrac{Mm}{(M+m)k}}$
したがって,周期は$T=2\pi\sqrt{\dfrac{Mm}{(M+m)k}}$です.
(4)
板からみた物体の振幅を調べます.
まず,板からみた物体の初速度は$-V_{0}$です.
次の図で確認しましょう.
すると,板からみて物体は,振動の中心からスタートして負の方向にいくので,$-\sin$型ですね.
振幅を$C$とおくと,板からみた物体の振動の式は次のように表すことができます.
$x=-C\sin\sqrt{\dfrac{M+m}{Mm}k}t$
時間$t$で微分すると,速度$v(t)$は
$v(t)=\dfrac{dv(t)}{dt}=-C\sqrt{\dfrac{M+m}{Mm}k}\cos\sqrt{\dfrac{M+m}{Mm}k}t$ $\dots (3\ast)$
初期条件,$v(0)=-V_{0}$を代入して
$-V_{0}=-C\sqrt{\dfrac{M+m}{Mm}k}$
$\therefore$ $C=V_{0}\sqrt{\dfrac{Mm}{(M+m)k}}$
したがって,振幅$C$は$C=V_{0}\sqrt{\dfrac{Mm}{(M+m)k}}$
(5) さらに(4)で得た振幅$C$を$(3\ast)$に代入して
$\eqalign{v(t)&=-V_{0}\sqrt{\dfrac{Mm}{(M+m)k}}\cdot \sqrt{\dfrac{M+m}{Mm}k}\cos\sqrt{\dfrac{M+m}{Mm}k}t\\&=-V_{0}\cos\sqrt{\dfrac{M+m}{Mm}k}t}$
したがって,$v(t)==-V_{0}\cos\sqrt{\dfrac{M+m}{Mm}k}t$
(6)
最後に,板と物体は撃力を与えられた後では,水平方向にはたらく力の和が0なので,運動量が保存します.
$t=0$と任意の時刻における運動量保存の式を立てましょう.
ただし,運動量保存則は原則として,静止した座標からの速度を用いてくださいね.
★ 運動量保存則
時刻$t$における板の速度を$V(t)$とすると,運動量保存則より
$\eqalign{MV_{0}+m\cdot 0 &=MV(t)+m\{V(t)+v(t)\}\cr (M+m)V(t)&=MV_{0}-mv(t)\cr V(t)&=\dfrac{MV_{0}-mv(t)}{M+m}}$
(5)で得た$v(t)=-V_{0}\cos\sqrt{\dfrac{M+m}{Mm}k}t$を代入して
$V(t)=\dfrac{(M+m\cos\sqrt{\dfrac{M+m}{Mm}k}t)V_{0}}{M+m}$
以上でおしまいです!
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