[演習]万有引力の問題4 楕円運動

分野別
見出し

上図のようにOに質量$M$の恒星があり,そのまわりを質量$m$の惑星が楕円運動している.

楕円運動している際に惑星がもっとも恒星に近づくときの点をA,もっとも遠ざかるときの点をBとする.AO間の距離を$r_{1}$,BO間の距離を$r_{2}$とし,Aでの惑星の速さを$v_{1}$,Bでの惑星の速さを$v_{2}$とするとき,次の各問いに答えよ.ただし,万有引力定数を$G$とし,$r_{1}\neq r_{2}$とする.

(1) A点とB点において,面積速度一定の式を立てよ.

(2) A点とB点において,力学的エネルギー保存則を立てよ.ただし,万有引力による位置エネルギーの基準は無限遠とする.

(3) (1)(2)より,$v_{1}$,$v_{2}$をそれぞれ$G$,$M$,$m$,$r_{1}$,$r_{2}$を用いて表せ.

PHYさん
PHYさん

楕円運動の問題のときに立てて欲しい式は次の2つです.

今回は,問題文で立式を指定されていますが,いつでも出てくるようにしましょう.

楕円運動の問題のときに立てる式
  • 面積速度一定の法則
  • 力学的エネルギー保存則
面積速度一定の法則

$\rm O$を中心として物体が運動しているときを考える.

物体の軌道面と平行な力が中心$\rm O$(または中心軸)を向くとき,面積速度$\dfrac{\Delta S}{\Delta t}$が一定となる.

面積速度は中心$\rm O$と物体を結ぶ線分が単位時間あたりに通過する面積である.

上図のように,$\rm O$と物体の距離が$r$,物体の速さを$v$,$\rm O$と物体を結ぶ線分と速度とのなす角を$\theta$とすると,面積速度は

$\dfrac{\Delta S}{\Delta t}=\dfrac{1}{2}rv\sin\theta$

PHYさん
PHYさん

A点とB点の面積速度は上図の赤色部分の面積です.

★ 面積速度一定の法則

$\dfrac{1}{2}r_{1}v_{1}=\dfrac{1}{2}r_{2}v_{2}$ $\dots (\ast)$ (答)

(2) 

PHYさん
PHYさん

次に力学的エネルギー保存則です.

万有引力による位置エネルギーの式を確認しましょう.

万有引力による位置エネルギー

質量$M$と質量$m$の物体の距離を$r$とする.万有引力の位置エネルギーの基準点を無限遠とし,万有引力定数を$G$とすると,万有引力のよる位置エネルギー$U$は

$U=-G\dfrac{Mm}{r}$

★ 力学的エネルギー保存則

$\dfrac{1}{2}mv_{1}^{2}-G\dfrac{Mm}{r_{1}}=\dfrac{1}{2}mv_{2}^{2}-G\dfrac{Mm}{r_{2}}$ $\dots (2\ast)$ (答)

(3)

NEKO
NEKO

$(\ast)$,$(2\ast)$を解きましょう.

$(\ast)$より

$v_{2}=\dfrac{r_{1}}{r_{2}}v_{1}$ $\dots (3\ast)$

$(2\ast)$の両辺を$m$で割って,$2$をかけると

$v_{1}^{2}-\dfrac{2GM}{r_{1}}=v_{2}^{2}-\dfrac{2GM}{r_{2}}$

$\therefore v_{1}^{2}-v_{2}^{2}=2GM\left(\dfrac{1}{r_{1}}-\dfrac{1}{r_{2}}\right)$

上式に$(3\ast)$を代入して整理する,途中$r_{1}\neq r_{2}$も考慮して

$\eqalign{v_{1}^{2}-\left(\dfrac{r_{1}}{r_{2}}v_{1}\right)^{2}&=2GM\dfrac{r_{2}-r_{1}}{r_{1}r_{2}}\cr \dfrac{r_{2}^{2}-r_{1}^{2}}{r_{2}^{2}}v_{1}^{2}&=2GM\dfrac{r_{2}-r_{1}}{r_{1}r_{2}}\cr \dfrac{(r_{2}+r_{1})\cancel{(r_{2}-r_{1})}}{r_{2}^{\cancel{2}}}v_{1}^{2}&=2GM\dfrac{\cancel{r_{2}-r_{1}}}{r_{1}\cancel{r_{2}}}}$

$\therefore v_{1}=\sqrt{\dfrac{2r_{2}GM}{r_{1}(r_{1}+r_{2})}}$ (答)

$(3\ast)$より

$\eqalign{v_{2}&=\dfrac{r_{1}}{r_{2}}v_{1}\\&=\dfrac{r_{1}}{r_{2}}\sqrt{\dfrac{2r_{2}GM}{r_{1}(r_{1}+r_{2})}}}$ 

$\therefore v_{2}=\sqrt{\dfrac{2r_{1}GM}{r_{2}(r_{1}+r_{2})}}$ (答)

コメント

  1. […] [演習]万有引力の問題2 宇宙速度 [演習]万有引力の問題4 楕円運動 […]

タイトルとURLをコピーしました