[標準]単振動演習⑯ 糸がたるまない条件1

分野別
問題

質量$M$の物体Aと質量$m$の物体Bがある.物体Aはなめらかな水平面上にあり,ばね定数$k$の軽いばねにつながれている.ばねの他端は壁に固定されている.さらに物体Aには軽くて伸びない糸がつながれており,糸は軽くて滑らかに回転する滑車を通して,物体Bにつながれている.物体Bに力を加え,ばねを自然長から$b$だけ伸ばして静かにはなしたところ,糸はたるむことなく,物体Aと物体Bは単振動をはじめた.重力加速度の大きさを$g$として,$b,m,M,g$の間に成り立つ不等式を求めよ.

<解答>

NEKO
NEKO

ばねが自然長になるときの物体Aの位置を原点として,ばねが伸びる方向に$x$座標をとりましょう.

今までと同様に,位置$x$における加速度を$a$として,運動方程式を立て,情報を得ます.

また,張力が$0$になるときの$x$座標もこの運動方程式を得ることができます.

張力の大きさを$S$とすると,物体Aにはたらく水平方向の力と物体Bにはたらく鉛直方向の力は次図のようになります.

★ 運動方程式

$Ma=-kx+S \cdots (\ast)$

$ma=mg-S \cdots (2\ast)$

$(\ast)+(2\ast)$より

$\eqalign{(M+m)a&=-kx+mg\\&=-k\left(x-\dfrac{mg}{k}\right) \cdots (3\ast)}$

単振動の運動方程式の読み取り

質量を$m$,加速度を$a$,物体の座標を$x$,$x_{0}$を定数,$k$を正の定数とする.

運動方程式が以下で表されている.

$ma=-k(x-x_{0})$

このとき,振動の中心は$x_{0}$,角振動数$\omega$と周期$T$は次のようになる.

$\omega=\sqrt{\dfrac{k}{m}}$

$T=\dfrac{2\pi}{\omega}=2\pi\sqrt{\dfrac{m}{k}}$

NEKO
NEKO

$(3\ast)$の式より,単振動の中心は

$x=\dfrac{mg}{k}$

となります.

また,$(3\ast)$より

$a=\dfrac{-kx+mg}{M+m}$

を$(2\ast)$に代入して,$S$を求めてみましょう.

$\eqalign{S&=m(g-a)\\&=m\left\{g-\dfrac{-kx+mg}{M+m}\right\}\\&=m\left\{\dfrac{(M+m)g+kx-mg}{M+m}\right\}\\&=\dfrac{m(Mg+kx)}{M+m}}$

NEKO
NEKO

つまり,$S$が$0$になるときの$x$座標は

$\dfrac{m(Mg+kx)}{M+m}=0$

$\therefore$ $x=-\dfrac{Mg}{k}$

です.

自然長から$b$伸ばしたところで運動がはじまるので,ここが単振動の右端になります.中心座標が$\dfrac{mg}{k}$,張力が$0$になる場所が$-\dfrac{Mg}{k}$であることを図に書いて整理すると,次のようになります.(この図は毎回かく癖をつけましょう.)

NEKO
NEKO

右端と中心の距離が$b-\dfrac{mg}{k}$なので,左端の位置は

$\dfrac{mg}{k}-\left(b-\dfrac{mg}{k}\right)=\dfrac{2mg}{k}-b$

となります.

糸がたるまないためには,

張力が$0$になる座標$<$単振動の左端

つまり,

$-\dfrac{Mg}{k}<\dfrac{2mg}{k}-b$

整理すると

$\dfrac{2m+M}{k}g>b$ (答)

PHYさん
PHYさん

単振動の振り幅を整理して,どのような条件のときに張力が$0$の場所にいかないかを考えていけばよいわけです.

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