![](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2022/01/レンズ実践問題1.1-1024x398.png)
焦点距離$10\,\rm cm$の凹レンズがある.凹レンズの中心を原点として,上図のようにレンズに垂直な方向に$x$軸をとる.$x$軸の負の方向より,$x=30\,\rm cm$の位置に像を結ぶように光を投射したが,凹レンズにより屈折し,別な場所に像ができた.この像は実像,虚像どちらか.また,像ができる位置$x\,[\rm cm]$を求めよ.
<解答>
![PHYさん](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/人1.png)
この問題は「レンズの式」を用いても計算ができますが,まずは,作図によるやり方を説明します.
$x=30\,\rm cm$の位置に集まる光のうち,代表光線を2つ描いて,おおよその像ができる位置を調べましょう.
凹レンズの代表光線は次のことを覚えておきましょう.
![](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/11/レンズ4.2-1024x513.png)
![](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/11/レンズ4.3-1024x444.png)
![](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/11/レンズ4.4-1024x459.png)
![](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2022/01/レンズ実践問題1.2-1024x396.png)
![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫目を開く.jpg)
まずは,中心を通る線(青線)だね.これはそのまままっすぐ進みます.
![](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2022/01/レンズ実践問題1.3-1024x477.png)
![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫目を開く.jpg)
そして,集まる予定だった位置に向かう線のうち,光軸な平行光線は焦点から飛び出るように屈折します.(赤線)
![](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2022/01/レンズ実践問題1.4-1024x477.png)
![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫普通.jpg)
青の線と赤の線は屈折後,交わらないので,反対側を伸ばすと交わります.
凹レンズの右側から見ると,上図の「像」と書いた点からすべての光が飛び出すように見えます.つまり虚像(答)ができるだね.
![](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2022/01/レンズ実践問題1.5-1024x484.png)
![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫わらかない.jpg)
次に虚像の位置を調べましょう.
上図の緑の相似な図形に着目します.
できるはずだった像(虚光源,虚物体)の高さを$X$,虚像の高さを$Y$とします.
凹レンズから虚像までの$x$方向の距離を$b$とすると,次の式が成り立ちます.
★ 緑の三角形の相似比
$\dfrac{Y}{X}=\dfrac{b}{30}$ $\cdots (\ast)$
![](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2022/01/レンズ実践問題1.6-1024x512.png)
![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫普通.jpg)
次に上図のピンクの三角形の相似比を考えます.
★ ピンクの三角形の相似比
$\dfrac{Y}{X}=\dfrac{b-10}{10}$ $\cdots (2\ast)$
![NEKO](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/猫普通.jpg)
$(\ast)$と$(2\ast)$より,$b$が求まります.
$(\ast)$,$(2\ast)$より
$ \dfrac{b}{30} = \dfrac{b-10}{10} $]
$\therefore b=15\,[\rm cm]$ (答)
![PHYさん](https://physicmath.net/wp-content/uploads/2020/09/人1.png)
レンズの式の場合は次のようになります.
レンズと光源との距離を$|a|$,焦点距離を$|f|$,レンズと像との距離を$|b|$とする.
このとき,次の式が成り立つ.
$\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}=\dfrac{1}{f}$
ただし,次の規則で$a$と$b$と$f$の正負を決める.
$a>0 \dots$ 実物体(実光源), $a<0 \dots$ 虚物体(虚光源)
$b>0 \dots$ 実像, $b<0 \dots$ 虚像
$f>0 \dots$ , 凸レンズ $f<0 \dots$ 凹レンズ
★ レンズの式
$\dfrac{1}{-30}+\dfrac{1}{b}=\dfrac{1}{-10}$
$\therefore b=-15$
したがって,凹レンズの左側の距離$15\,[\rm cm]$の場所に虚像ができる.
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