レンズ実践問題1 虚物体

レンズ・鏡
問題

焦点距離$10\,\rm cm$の凹レンズがある.凹レンズの中心を原点として,上図のようにレンズに垂直な方向に$x$軸をとる.$x$軸の負の方向より,$x=30\,\rm cm$の位置に像を結ぶように光を投射したが,凹レンズにより屈折し,別な場所に像ができた.この像は実像,虚像どちらか.また,像ができる位置$x\,[\rm cm]$を求めよ.

<解答>

PHYさん
PHYさん

この問題は「レンズの式」を用いても計算ができますが,まずは,作図によるやり方を説明します.

$x=30\,\rm cm$の位置に集まる光のうち,代表光線を2つ描いて,おおよその像ができる位置を調べましょう.

凹レンズの代表光線は次のことを覚えておきましょう.

凹レンズの3つの代表光線
NEKO
NEKO

まずは,中心を通る線(青線)だね.これはそのまままっすぐ進みます.

NEKO
NEKO

そして,集まる予定だった位置に向かう線のうち,光軸な平行光線は焦点から飛び出るように屈折します.(赤線

NEKO
NEKO

青の線と赤の線は屈折後,交わらないので,反対側を伸ばすと交わります.

凹レンズの右側から見ると,上図の「像」と書いた点からすべての光が飛び出すように見えます.つまり虚像(答)ができるだね.

NEKO
NEKO

次に虚像の位置を調べましょう.

上図の緑の相似な図形に着目します.

できるはずだった像(虚光源,虚物体)の高さを$X$,虚像の高さを$Y$とします.

凹レンズから虚像までの$x$方向の距離を$b$とすると,次の式が成り立ちます.

★ 緑の三角形の相似比

$\dfrac{Y}{X}=\dfrac{b}{30}$ $\cdots (\ast)$

NEKO
NEKO

次に上図のピンクの三角形の相似比を考えます.

★ ピンクの三角形の相似比

$\dfrac{Y}{X}=\dfrac{b-10}{10}$ $\cdots (2\ast)$

NEKO
NEKO

$(\ast)$と$(2\ast)$より,$b$が求まります.

$(\ast)$,$(2\ast)$より

$ \dfrac{b}{30} = \dfrac{b-10}{10} $]

$\therefore b=15\,[\rm cm]$ (答)

PHYさん
PHYさん

レンズの式の場合は次のようになります.

レンズの式の統一(虚光源含みver.)

レンズと光源との距離を$|a|$,焦点距離を$|f|$,レンズと像との距離を$|b|$とする.

このとき,次の式が成り立つ.

$\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}=\dfrac{1}{f}$

ただし,次の規則で$a$と$b$と$f$の正負を決める.

$a>0 \dots$ 実物体(実光源), $a<0 \dots$ 虚物体(虚光源)

$b>0 \dots$ 実像, $b<0 \dots$ 虚像

$f>0 \dots$ , 凸レンズ $f<0 \dots$ 凹レンズ

★ レンズの式

$\dfrac{1}{-30}+\dfrac{1}{b}=\dfrac{1}{-10}$

$\therefore b=-15$

したがって,凹レンズの左側の距離$15\,[\rm cm]$の場所に虚像ができる.

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