twitterの問題55 音源の圧力変化と媒質の変位

波動

<問題>

<解答>

「圧力が同じタイミングで振動しているから,音源ABの中点で強め合いが起こり,振幅は$2K_{0}$になる!」

ではないので,注意が必要です.

実は,音源Aの原点側の媒質の変位と音源Bの原点側の媒質の変位は逆位相となるのです.

その説明をしていきましょう.

まず,疎密と媒質の変位の関係の復習です.

音波は縦波なので,実際は音が伝わる方向と平行な方向に媒質が振動するのですが,これを「横波」のように表示することが多々あります.

普通は,横波表示における媒質の変位$y$が正のときを縦波における右方向の変位として対応させていきます.(ここでもそのようにしています.)

上のグラフは媒質の変位の「写真」です.媒質の時間変化ではありません

「↘」の場所が密になっていて,「↗」の場所が疎になっていることが確認できます.

もし,この段階で,わけがわからない方はもう少しやさしめの問題から練習しておくとよいです.(今回は発展的な内容なので)

問題では,圧力の変化の時刻$t$の関数が$P_{0}\sin \omega t$となっています.振動の周期を$T$とすると,原点では,$t=0$では疎密どちらでもない状態からスタートし,$t=\dfrac{1}{4}T$で密となり,$t=\dfrac{1}{2}T$で,疎密どちらでもない状態になり,$t=\dfrac{3}{4}T$で疎となります.

もし,原点に音源をおいたときに$x$軸の正方向へ伝わる波と負方向へ伝わる波はどのようになるかを考えていきたいと思います.

★ 音源から$x$軸正方向へ進む波について

$t=0$では,「疎でも密」でもない状態でわかりにくいので,$t=\dfrac{T}{4}$の原点が「密」である状態から考えていきます.密は「↘」だったので,上のグラフになることがわかります.

$x$軸の正の方向へ進む波なので,$t=\dfrac{T}{4}$より少し前の波は上図の点線の波になります.

このとき,原点Oの媒質の変位に着目すると,媒質の変位は下からやってきて,$t=\dfrac{T}{4}$で変位0になったことが予想できます.

最下点からスタートして,上に上がる振動→$-\cos $型

媒質の変位の振幅が$K_{0}$なので,媒質の変位の時間変化は

$-K_{0}\cos\omega t$

となります.

★ 音源から$x$軸正方向へ進む波について

次に負方向へ進む波です.やはり$t=\dfrac{T}{4}$で密になる,つまり原点で「↘」になるように図示すると上のようになります.

負方向へ進む波を考えているため,$t=\dfrac{T}{4}$より,少し前の波は上図の点線のグラフのようになります.

再び原点に着目すると,原点Oでの媒質の変位は上からやってきて,$t=\dfrac{T}{4}$で$0$になる.つまり

最高点からスタートして,下に下がる振動→$\cos $型

なので,媒質の変位の時間変化は

$K_{0}\cos\omega t$

となります.

このように,音源の右側と左側では媒質の変位の時間変化が真逆(逆位相)になっています.

これを,絵でみると次のようになります.

たしかに,疎密のタイミングは同じなのに,媒質の変位は真逆(片一方が右にいけばもう片一方は左にいく)になっています.動画でみると次のようになります.

以上から,音源Aの原点側の媒質の変位と音源Bの原点側の媒質の変位は逆位相になるので,互いに距離が等しい原点Oでは弱め合うことで媒質の振幅は$0$(答)となります.

※ 場合によっては,左右の媒質の変位が同じになる問題もつくることができるので,問題をよく読んでください.

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