[基本]単振動の演習問題⑥ 運動方程式を立てる2

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NEKO
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前回から単振動の運動方程式を立てる練習をはじめました.運動方程式を立てる際は,次の3つのステップを忘れずに!

  1. 運動方程式を立てる対象物体と座標を決める.
  2. 座標の+の向きに加速度$a$を設定して,位置$x$における対象物体にはたらく力を図示する.
  3. 必要であれば,力を分解し運動方程式を立てる.

また,単振動を解く流れは以下のようになります.

  1. 運動方程式を立てて,中心座標,角振動数,周期を求める.
  2. 初期条件より,座標$x$の式を求める.

それでは,問題を解きましょう.今回は2題あります.

前回の内容はこちら

問題6-1 鉛直方向の単振動の運動方程式

上図のように,ばね定数$k$の軽いばねの一端が天井に固定されて,他端は質量$m$の物体にとりつけられている.外力を加えて物体を自然長の位置までもっていき,静かにはなしたところ,物体は単振動を始めた.以下の問いに答えよ.ただし,自然長の位置を原点として,ばねが伸びる方向に$y$座標をとる.また,重力加速度の大きさを$g$とする.

(1) 手をはなした後の物体の運動方程式を立て,振動の中心$y_{0}$,角振動数$\omega$,振動の周期$T$をそれぞれを$m$,$k$,$g$から必要なものを用いて表せ.

(2) 手をはなした時刻を$t=0$として,時刻$t$における物体の座標$y$を$m$,$k$,$g$,$t$を用いて表せ.

<解答>

(1) 物体が$y$の位置にあるときの加速度を座標の向きに$a$と設定する.物体にはたらく力を図示すると,$+y$方向に$mg$と$y>0$のとき$ky$が$-y$方向にかかるので,運動方程式は

$ma=mg-ky=-k(y-\dfrac{mg}{k})$

したがって,中心座標$y_{0}$,角振動数$\omega$,周期$T$はそれぞれ

$y_{0}=\dfrac{mg}{k}$,$\omega=\sqrt{\dfrac{k}{m}}$,$T=2\pi \sqrt{\dfrac{m}{k}}$

(2) $y=0$で物体の速度が0でスタートするので,ここが振動のてっぺんになります.また,(1)より振動の中心が$y_{0}=\dfrac{mg}{k}$なので,振動の中心からてっぺんまでの距離,すなわち振幅$A$は,$A=\dfrac{mg}{k}$ということがわかります.

ここで,座標が下向きにとられていることに注意してください.今回の振動は座標としてもっとも小さいところから,上にスタートするので,$-\cos$型です.中心座標が$\dfrac{mg}{k}$なので,時刻$t$における物体の座標$y$は

$y=y_{0}-A\cos \omega t =\dfrac{mg}{k}-\dfrac{mg}{k}\cos \sqrt{\dfrac{k}{m}}t$

となります.

NEKO
NEKO

続いて,斜面上の物体の単振動です.

問題6-2 斜面上の単振動の運動方程式

上図のように,ばね定数$k$の軽いばねの一端を傾角$\theta$の斜面上に固定されている板にとりつけ,他端を質量$m$の物体にとりつける.自然長を原点として,ばねが伸びる方向に$x$座標をとる.すると,物体は$x=x_{1}$の位置で静止した.さらに,物体を$x=2x_{1}$まで移動させ,静かに手をはなすと単振動をした.重力加速度の大きさを$g$とし,斜面はなめらかで,物体との間に摩擦力はないものとする.次の問いに答えよ.

(1) $x_{1}$の位置を$k$,$m$,$\theta$,$g$を用いて表せ.

(2) 振動の中心$x_{0}$,角振動数$\omega$,振動の周期$T$を$k$,$m$,$\theta$,$g$から必要なものを用いて表せ.

(3) 静かに手をはなした時刻を$t=0$とする.時刻$t$における物体の座標$x$を$k$,$m$,$\theta$,$g$,$t$を用いて表せ.

<解答>

(1) $x=x_{1}$はなにも力を加えないで静止していた位置なので,斜面に平行な方向のつり合いの式を立てます.このときの重力の斜面平行成分は$+x$方向に$mg\sin \theta$,弾性力は$-x$方向に$kx_{1}$なので,斜面に平行な方向のつり合いの式より

$mg\sin \theta =kx_{1}$ $\therefore$ $x_{1}=\dfrac{mg\sin \theta}{k}$


(2) 座標$y$における$x$軸方向の加速度を$a$とします.位置$x$における重力の斜面平行成分は$+x$方向に$mg\sin \theta$,弾性力は($x>0$のとき)$-x$方向に$kx$なので,斜面に平行な方向の運動方程式は

$ma=mg\sin \theta -kx=-k(x-\dfrac{mg\sin \theta}{k})$

この運動方程式より,中心座標$x_{0}$,角振動数$\omega$,周期$T$は

$x_{0}=\dfrac{mg\sin \theta}{k}$$\omega=\sqrt{\dfrac{k}{m}}$$T=2\pi \sqrt{\dfrac{m}{k}}$


(3) 中心は$\dfrac{mg\sin \theta}{k}$で,スタートが$\dfrac{2mg\sin \theta}{k}$です.スタート地点は静かにはなされたので,初速度0であり,振動における右端っこになります.右端と中心の距離が$\dfrac{mg\sin \theta}{k}$なので,振幅は$\dfrac{mg\sin \theta}{k}$です.また,最大の座標からスタートして,$x$軸の負の向きにいくので,$\cos$型です.したがって,時刻$t$における物体の座標$x$は

$x=x_{0}+A\cos \omega t=\dfrac{mg \sin \theta}{k}+\dfrac{mg\sin \theta}{k} \cos \sqrt{\dfrac{k}{m}}t$

PHYさん
PHYさん

水平方向の単振動であれ,鉛直方向の単振動であれ,斜面上の単振動であれ,すべきことは同じです.単振動の運動方程式を立て,振動の中心や角振動数,周期を読み取って,初期条件から振幅や$\sin$,$\cos$$\dots$を見極める.この一連の流れになれると単振動が得意になってくるでしょう.

次回はさらに他のパターンの単振動の演習をしましょう.

次回はこちら

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