今回は電磁場の領域における荷電粒子の運動です.
まずは,問題を解いてみましょう.
答えは最後にあります!
まず,荷電粒子が磁場に対して垂直な速度をもっていたら,ローレンツ力が向心力となって等速円運動をするんだね.
ローレンツ力の復習をしよう!
<解答>
(1)
(1)を解くときに,何をすればいいのかわからない人も多いかもしれません.
そういうときは,立てられる式を立てて未知な物理量を減らしましょう.
ちなみに問題文にははっきりと書いてはいないけど,Aにおいて,中心が$\rm{O_{1}}$の方向にローレンツ力が向くので,フレミング左手の法則より,中指の指(電流の向き)は,初速度の方向となります.
電荷の動く向きと電流の向きが一致しているので,$q>0$となります.
★A→Bの円運動の運動方程式について
円運動の加速度は$\dfrac{(速さ)^2}{半径}$なので,円運動の運動方程式は
$m\dfrac{v_{0}^2}{2r}=v_{0}B_{0}q$
$\therefore r=\dfrac{mv_{0}}{2B_{0}q}$ $\dots (\ast)$
★C→Dの円運動の運動方程式について
B→C間にはたらく静電気力(クーロン力)によって,速度が変化している可能性があるので,Cにおける速さを$v_{1}$としましょう.
磁場の大きさは同じく$B_{0}$であることと,円運動の半径が$r$であることから,円運動の運動方程式より
$m\dfrac{v_{1}^2}{r}=v_{1}B_{0}q$
$\therefore v_{1}=\dfrac{B_{0}qr}{m}$
$(\ast)$を上式に代入して
$v_{1}=\dfrac{B_{0}q}{m}\cdot \dfrac{mv_{0}}{2B_{0}q}=\dfrac{v_{0}}{2}$
これでCの速さがわかったね!
次に,BCの間で速度が変化した原因を考えよう!
速度の変化,つまり加速度だね.
BC間について,運動方程式を立ててみよう!
★B→Cの運動方程式
電場を$E$として,B→Cの向きにかかっていると設定しましょう.
同じく,B→Cの向きを+の向きとして,加速度を$a$とすると,運動方程式は
$ma=qE$ $\therefore a=\dfrac{qE}{m}$ $\dots (2\ast)$
$a=\dfrac{qE}{m}=$一定だから,等加速度運動の式を立てればいいね!
等加速度運動について復習しておきましょう.
時間についての問いではないし,時間についてのヒントがあるわけではないので,3つ目の式
$v^{2}-v_{0}^{2}=2ax$
を使ってみましょう.
★BC間の等加速度運動の式
BC間に等加速度運動の式より
$(\dfrac{v_{0}}{2})^{2}-v_{0}^2=2ad$
さらに,この式に(2\ast)で得た$a=\dfrac{qE}{m}$を代入しましょう.
$(\dfrac{v_{0}}{2})^{2}-v_{0}^2=2\cdot \dfrac{qE}{m}\cdot d$
$\therefore E=-\dfrac{3mv_{0}^2}{8qd}$
$E=-\dfrac{3mv_{0}^2}{8qd}$という結果から,電場が-(マイナス)なので,設定したB→Cの方向と逆っていうことだね.
だから,(1)の答えは,⑥です.
(2)
次は時間についてです.
A→BとC→DとE→Fは円運動なので,周期の式を利用しましょう.
B→CとD→Fは等加速度運動なので,等加速度運動の式を立てます.
上の式は
円周の長さ=速さ×1周するのにかかる時間
だね.
★A→Bの間の周期の式
$T=\dfrac{2\pi \cdot 2r}{v_{0}}=\dfrac{4\pi r}{v_{0}}$
★C→Dの周期の式
$T=\dfrac{2\pi r}{\dfrac{v_{0}}{2}}=\dfrac{4\pi r}{v_{0}}$
A→B,C→Dはどちらも周期が同じだね.
E→Fに関しても半径が$2r$,速さが$v_{0}$だからやっぱり同じ周期になるよ.
A→B,C→D,E→Fを動く合計の時間$t_{1}$は
$\eqalign{t_{1}&=\dfrac{T}{2}+\dfrac{T}{2}+\dfrac{T}{2}\\&=\dfrac{3T}{2}\\&=\dfrac{6\pi r}{v_{0}}}$
しかし,このままでは×!
選択肢から選ぶ問題は選択肢をみて,使う文字を選ばなければいけないんだ.
選択肢の第1項($B_{0}$を含む方)では$v_{0}$や$r$がないね.
だから,$t_{1}$の式は,$(\ast)$の式$r=\dfrac{mv_{0}}{2B_{0}q}$を使って式を変形しましょう.
$\eqalign{t_{1}&=\dfrac{6\pi r}{v_{0}}\\&=\dfrac{6\pi \cdot \dfrac{mv_{0}}{2B_{0}q}}{v_{0}}\\&=\dfrac{3\pi m}{B_{0}q}}$ $\dots \heartsuit$
次にB→CとD→E部分の動く時間です.
こちらは等加速度運動の式を立てましょう.
★B→Cの等加速度運動の式
Bにおける速度が下向きに$v_{0}$,Cにおける速度が下向きに$\dfrac{v_{0}}{2}$であり,加速度$a$が$a=-\dfrac{qE_{0}}{m}$なので,等加速度運動の式$v=v_{0}+at$の式を立てると
$\dfrac{v_{0}}{2}=v_{0}-\dfrac{qE_{0}}{m}t$
$\therefore t=\dfrac{mv_{0}}{2qE_{0}}$
これで,BC間の運動の時間が$\dfrac{mv_{0}}{2qE_{0}}$とわかったね.
DE間も同じように計算すれば,$\dfrac{mv_{0}}{2qE_{0}}$です.
だから,BCとDE合わせた時間は
$t_{2}=\dfrac{mv_{0}}{2qE_{0}}\cdot 2=\dfrac{mv_{0}}{qE_{0}}$
なるね.
したがって,求める時間は
$t_{1}+t_{2}=\dfrac{3\pi m}{B_{0}q}+\dfrac{mv_{0}}{qE_{0}}$
です.④が正解です.
答え (1) ⑥ (2) ④
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