今回は,運動方程式を立てる際によくある間違いを挙げていくね.
逆に,今回紹介する間違いはしないように注意しようね.
はじめに,運動方程式についてまとめましょう.
では,1つ1つ見ていきましょう.
運動方程式の右辺の力をすべてかいていない.
たとえば,上図のように質量$m$の物体が水平右方向に加速度$a$とします.
物体には力の大きさ$F_{1} , F_{2}$が図の向きにはたらいているとしましょう.
このとき,次のような間違いをときどきみかけます.
×:$ma=F_{1}$
このような形にしてしまう理由としては
- そもそも$F_{2}$を見逃している.
- とりあえず,力を1つでもかけばいいと思っている.
らへんでしょうか.
2つ目は運動方程式をなんとなく丸暗記しているタイプで,もし物理を受験に使うのであれば,考え方を改めた方がよいでしょう.
$ma=F$は力$F$(原因)がかかることで加速度$a$(結果)を得るのです.
いわゆる因果関係の式でもあります.
原因の部分には,物体にはたらくすべての力をかく必要があります.
1番目の間違いが多い人はそそっかしいタイプかもしれません.
おそらく運動方程式以外の分野,または,数学や英語なんかでもミスしている可能性があるので,注意しましょう.
ちなみに,正しい答えは,$ma=F_{1}-F_{2}$です.
運動方程式の右辺の力を分解していない.
たとえば,上図のように質量$m$の物体が水平右方向に加速度$a$とします.
物体には力の大きさ$F_{1} , F_{2}$が図の向きにはたらいているとしましょう.
このとき,次のような間違いをよくみかけます.
×:$ma=F_{1}-F_{2}$
なぜ,この運動方程式が×なのかわかりますか?
加速度$a$が水平右向きなのにもかかわらず,力$F_{1}$が斜めに向いているからです.
正しくは,次のように力を分解しましょう.
このとき,$F_{1}\sin \theta$は水平右方向の加速度とは関係ない成分です.
したがって,正しくは
$ma=F_{1}\sin \theta -F_{2}$
となります.
運動方程式の物体系をあいまいにしている.
質量$m$,$M$が水平な床におかれていて,力$F$を図の向きにかけたところ,2つの物体は加速度運動をした.その加速度を$a$,2つの物体にはたらく垂直抗力の大きさを$N$とします.
このとき,次のような間違いをする人がいます.
×:$ma=F$
これは,垂直抗力$N$を忘れていたのではなく,意識したけど,”作用反作用で打ち消されるから”という理由かと思います.
この手の間違いの原因としては
どの物体を対象に運動方程式を立てるのか
を意識していないことが多いです.
ただしくは,こうです.
〇 $ma=F-N$
〇 $(M+m)a=F$
上の式は,質量$m$の物体のみを対象とした運動方程式で,下の式は質量$m$と質量$M$の物体を対象とした運動方程式です.
運動方程式を立てる際は,対象とする物体を決めましょう.
2つの物体が同じ加速度であると勘違いする.
いままでは,物理初心者によくある間違いでしたが,今回は受験生でもやってしまう間違いです.
水平でなめらかな床の上に,質量$M$の物体Bがおいてあり,さらに物体Bのなめらかで水平な上面に物体Aがおいてある.物体Bに力$F$を水平右向きに加えたとします.
このとき,物体Bの加速度を$a$とすると,次のような間違った運動方程式を立てる人が多いです.
×:$(M+m)a=F$
さて,これは一見正しいように見えますが,×です.
正しくは
$Ma=F$
です.理由は,物体Aは物体Bと同じ加速度$a$ではないからです.
となります.物体Aにはたらく水平方向の力は0なので,Aはその場所に静止したままです.
テーブルクロス引きみたいなイメージです.テーブルクロスにのっているお皿(A)はその場所で静止,テーブルクロス(B)は加速度運動をする.
すると,物体Aの加速度は物体Bと同じではないので,同じ加速度$a$で設定するのはまずいですね.
このように,別な加速度であるのに,同じ加速度だと勝手に思って運動方程式を立てるのは×です.
※ ちなみに,$(M+m)a=F$の加速度はAとBの重心加速度となっています.
観測者を意識していない.
観測者が加速度運動しているときは,慣性力を忘れずにかきましょう.
観測者をあいまいにすると,ミスが多くなります.
運動方程式を立てるだけでもいろいろな間違いあるんだね.
結局どのようにしたら,間違いを防ぐことができるんだろう?
運動方程式を立てる手順を確認する癖をつけるとよいでしょう.
次の手順を参考にしてください.
運動方程式の立式をミスを防ぐ手順の確認
また,そもそも力の図示ができない人は,運動方程式を立てる練習と平行して力をもれなくかく練習をしましょう.
コメント
[…] 運動方程式を立てる際によくある間違いNEKO今回は,運動方程式を立てる際… PHYさん […]
[…] 運動方程式を立てる際によくある間違い […]