[ヤングの実験とは全然違う!?]単スリット

分野別

今回は単スリットについて説明をします.2スリットはヤングの実験でよく知られていると思います.2つのスリットを通る光が干渉し,スクリーンに明線と暗線を交互に作ります.一方,単スリットは1つのスリットを通る無数の光が干渉し,明線と暗線を作ります.干渉条件に違いがあるので,注意をしましょう.

 単スリットの明線条件,暗線条件

図2において,スリットの幅を$D$としてAからスクリーンの方向にいく光(青の方向)と,Bからスクリーンの方向にいく光を考えます.このとき,AからBの光線の方向の直線へ下した垂線の足をHとし,AとBの光線の方向を$\theta$とします.このとき,

$\rm{BH}$$=D\sin \theta$

となることが確認できます.光の波長を$\lambda$,整数$m$を使えば,明線条件と暗線条件は次のようになります.

明線条件$\left\lbrace \matrix{ D \sin \theta =0 \dots 明るい \cr D\sin \theta =(m+\dfrac{1}{2})\lambda \dots やや明るい }\right\rbrace $

暗線条件$\{D\sin \theta =m\lambda (m\neq 0) \dots暗い \}$

見た目はヤングの実験と真反対のように見えますが,物理法則が違うというわけではありません.なぜ,上のような干渉条件になるのかを考えてみましょう.

 $D\sin \theta =0$

$D\sin \theta =0$のとき,すべての光の振動は同じタイミングであるから,スクリーンでの振幅が大きくなります.そのため,単スリットの真正面にある場所では明るい線が見えます.

 $D\sin \theta =\lambda$

図4では便宜的に17本の光線を考えてみました.上の光線から番号をふって$\rm{A_{1} , A_{2} , \dots , A_{17}}$とします.$D\sin \theta =\lambda$であるから,$\rm{A_{1}}$からスクリーンまでの距離と$\rm{A_{17}}$からスクリーンまでの距離は$\lambda$の差があります.すると,$\rm{A_{1}}$$\rm{A_{9}}$はちょうど真反対の振動となり,スクリーンにおいて振動が打ち消す形となります.振動を打ち消すのはこれだけではありません.$\rm{A_{4}}$$\rm{A_{12}}$も打ち消します.このように,必ず真反対の振動のものが存在し,同様に,$\rm{A_{2}}$と$\rm{A_{10}}$ ,$ \dots $,$\rm{A_{8}}$と$\rm{A_{16}}$が打ち消し合います.唯一この図では$\rm{A_{17}}$だけ残ることになりますが,ほぼすべてが打ち消すので,スクリーンでは暗くうつります.

 $D\sin \theta=\dfrac{3}{2}\lambda$

今度は,$D\sin \theta=\dfrac{3}{2}\lambda$であるから,一番上の光線と一番下の光線は$\dfrac{3}{2}\lambda$の差があります.ということは,図4と同じように一番上の光線との距離の差が$\lambda$の場所もありますし,$\dfrac{1}{2}\lambda$のところもあります.上図のようにの光線は打ち消し,も打ち消し,大部分は打ち消すこととなります.しかし,距離の差が$\dfrac{1}{2}\lambda$以下の下部分では打ち消す相手が見つからず少し残ります.この方向にできるのは$D\sin \theta=0$ほど明るくはありませんが,それでもやや明るく見えるはずです.

 $D\sin \theta =2\lambda$

図6では,図4と同様に,ほぼすべての光が打ち消し合います.図6では黄色黄色が打ち消し合います.結局この方向は暗くなるでしょう.

 $D\sin \theta =\dfrac{5}{2}\lambda$

さらに,角度が傾いていくと,打ち消す部分が多くなっていきます.なので,まわりよりは明るいのですが,やや明るい程度でしょう.

 まとめ

単スリットの問題では,ヤングの実験のように2つの光線だけのタイミングを考えるのではなく,単スリットを通る無数の光線のタイミングをかんがえていきます.したがって,ある光線の振動と他の振動のタイミングが真反対で,打ち消してしまうものもたくさんあります.このとき,すべて打ち消してしまえば,暗くなるし,少しでもうち消さないものが残れば明るくなります.

今まで考えてきたように,単スリットの真正面は明るく,その後,真正面の部分から離れると,暗い→明るい→暗い,を繰り返しますが,同じ明線でも真正面から距離が離れるほど薄暗くなっていきます.

実はヤングの実験でも同じような効果が起こります.真正面からの距離が離れるほど明線が暗くなっていきます.これは,単スリットの効果で,各スリットで単スリットの干渉を起こしているからです.(実際の入試問題では,この単スリットの効果を無視する問題もあるので,よく問題文を読みましょう.)

コメント

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