クォークは物質を構成する最も基本的な粒子で,陽子や$\pi$中間子などのような粒子はクォークで構成されている.これらのクォークから成る粒子には,
クォーク3個でできた重粒子(と反クォーク3個でできた反重粒子)
クォーク1個と反クォーク1個からできた中間子
の2種類が存在する.
問1 クォークの電荷はu,c,t クォークが電気素量の$+\dfrac{2}{3}$倍で,d,s,b クォークが電気素量の$-\dfrac{1}{3}$倍で,反クォークは元のクォークの逆である.このことから,以下のクォークで構成される粒子の電荷は電気素量の何倍になるか答えなさい.(例えば反uクォークは$\overline{\rm u}$のように,反クォークは$\,\,\overline{}\,\,$の記号で示している.)
(1) $\rm u u d$ (2) $\rm u \overline{\rm s}$ (3) $\rm u u c$ (4) $\rm b \overline{\rm u}$ (5) $\overline{\rm u} \,\,\overline{\rm d}\,\, \overline{\rm d}$
問2 粒子と反粒子が衝突すれば共に消滅してエネルギーが解放される(対消滅).逆に,十分なエネルギーがあれば粒子と反粒子がペアで生まれる(対生成).例題のように,以下の(1)と(2)の反応において下線を引いた粒子が何のクォークで構成されているか答えなさい.
例題 $\underline{\Delta^{-}粒子}$は中性子($\rm u d d$)と$\pi^{-} (\rm d \overline{u})$に崩壊する.
例題の解答 $\rm d d d$
解説 反応が終了した状態は全体ではクォーク4個と反クォーク1個でその差は3個なので$\Delta^{-}$粒子はクォーク3個で構成される重粒子である.$\Delta^{-}$粒子の崩壊の際に余分なエネルギーがクォーク・反クォークの対生成に使われたが,終状態の中で反クォークは$\overline{\rm u}$なのでこの崩壊反応で$\rm u \overline{\rm u}$は対生成された.したがって崩壊前から存在していて$\Delta^{-}$粒子を構成していたのは残りの$\rm d d d$である.
(1) $\underline{\phi 粒子}$は$\rm K^{+} (\rm u \overline{\rm s})$と$\rm K^{-} (\rm s \overline{\rm u})$にも$\rm K^{0} (\rm d \overline{\rm s})$と$\overline{\rm K^{0}} (\rm s \overline{\rm d})$にも崩壊できる.
(2) 中性子と$\pi^{-}$が衝突して$\rm K^{0}$と$\underline{\sum^{-}粒子}$が生まれた.
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