前回の内容はこちらです.
あらかじめ解いておくと理解しやすいかと思います.
干渉による位相差の条件をまとめると次のようになります.
(1)
薄板を入れる前の明線の位置と薄板を入れた後の明線の位置が同じなので,それぞれの強め合いの条件の式を立てます.
以下,半透鏡から鏡Aまでの距離を$L_{\rm A}$,半透鏡から鏡Bまでの距離を$L_{\rm B}$としましょう.
※ 実際は半透鏡での反射によって,2経路の位相差が$\pi$分ずれ,強め合いの条件と弱め合いの条件が真逆になりますが,差をとると同じ答えが出ます.
★薄板を入れる前の強め合いの条件
$l_{1}$を整数として
$\dfrac{2\pi}{\lambda}\times 2L_{\rm B}-\dfrac{2\pi}{\lambda}\times 2L_{\rm A}=2\pi\times l_{1} \cdots (\ast)$
★薄板を入れた後の強め合いの条件
$l_{2}$を整数とする.薄板内の波長は$\lambda_{1}=\dfrac{\lambda}{n}$になるので分けて計算をすることに注意
$\dfrac{2\pi}{\lambda}\times (2L_{\rm B}-2d)+\dfrac{2\pi}{\dfrac{\lambda}{n}}\times 2d-\dfrac{2\pi}{\lambda}\times L_{\rm A}=2\pi\times l_{2}$
$\therefore\,\, \dfrac{2\pi}{\lambda}\times \{2L_{\rm B}+2(n-1)d\}-\dfrac{2\pi}{\lambda}\times 2L_{\rm A}=2\pi l_{2} \cdots (2\ast)$
$n>1$なので,$(\ast)$の左辺より,$(2\ast)$の左辺の方が大きいことがわかります.つまり,それぞれの右辺を比べると,$l_{1}<l_{2}$です.そこで,$(2\ast)-(\ast)$を計算します.
★ $(2\ast)-(\ast)$
$\dfrac{\cancel{2\pi}}{\lambda}\times 2(n-1)d=\cancel{2\pi}\times (l_{2}-l_{1})$
上式で$l_{2}-l_{1}=m\,(>0)$とおきます.
$\dfrac{2(n-1)d}{\lambda}=m$ $\therefore\,\, 2(n-1)d=m\lambda$(答)
(2)
光源に対する面Pでの経路Yの波の位相の遅れは上のようになります.$\delta$は光源から半透鏡と半透鏡から面Pまでの分の位相のずれです.
薄板を研磨すると$d$が小さくなるので,上図の青い部分の$d$が小さくなります.すると,
「光源に対する経路Yの面Pでの位相のずれが小さくなる」
とも言えるし
「光源に対する経路Yの面Pまでの光学的な距離が近くなる」
とも言えるし
「光源に対する経路Yの面Pまでの波の数が少なくなる」
とも言えるし
「光源に対する経路Yの面Pまでに届く時間が短くなる」
とも言えます.
上のどれを使って考えるかは好き好きですが,一貫していえることが,研磨することで,もともとあった波面(青線横棒)より少し進んだところに波面がくる(赤細線)ようになることで,元の腹線(太黒線)が移動し赤色の腹線になります.
そうすると,下図のように腹線が右方向に移動し,明線の位置も$x$軸正方向へ移動(答)することになります.
光学的な距離が近くなった分,波面を前に移動させて,その交点をみて新たな明線を見つけるようにするとよいでしょう.
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