今回は,電力と静電エネルギーの関係について話をしたいと思います.
この2つにはどのような関係があるのでしょうか?
上図のように,時刻$t$において,Gに対するAの電位が$V(t)=V_{0}\sin\omega t$のとき,電流$i(t)$を求めましょう.
回路素子にかかる電圧または電流のどちらかがわかっているとき,電流または電圧を求めるときは,次のステップで解きましょう.
★ 電流の最大値
電流の最大値を$i_{0}$とすると
$V_{0}=\dfrac{1}{\omega C}i_{0}$ $\therefore i_{0}=\omega CV_{0}$
★ 位相のずれ
コンデンサーに流れる電流は,電圧に対して位相が$\dfrac{\pi}{2}$進む.
以上から時刻$t$における電流$i(t)$は
$\eqalign{i(t)&=\omega CV_{0}\sin(\omega t+\dfrac{\pi}{2})\\&=\omega CV_{0}\cos\omega t}$
電力を計算してみましょう.
電力$P$は電流を$I$,電圧を$V$とすると
$P=IV$
で表されます.
★ 電力$P(t)$の計算
$\eqalign{P(t)&=i(t)V(t)\\&=(\omega CV_{0}\cos\omega t)\cdot (V_{0}\sin \omega t)\\&=\omega CV_{0}^{2}\sin\omega t \cos\omega t \dots (\ast)}$
一方,コンデンサーに蓄えられるエネルギー$U$は次のようになります.
★ 静電エネルギー$U$
$\eqalign{U&=\dfrac{1}{2}CV(t)^{2}\\&=\dfrac{1}{2}C(V_{0}\sin\omega t)^{2}\\&=\dfrac{1}{2}CV_{0}^{2}\sin^{2}\omega t \dots (2\ast)}$
さて,$(\ast)$と$(2\ast)$はどのような関係があるのでしょうか?
電力$P$は
「単位時間当たりの電流がする仕事」
静電エネルギーは
「時刻$t$にコンデンサーに蓄えられているエネルギー」
です.
すると,単位時間当たりに電流が仕事をした分だけ,静電エネルギーが変化していることが予想できます.
では,確かめていきましょう.
静電エネルギー$U$を時間$t$で微分しましょう.
$\eqalign{\dfrac{dU}{dt}&=\dfrac{d}{dt}(\dfrac{1}{2}CV_{0}^{2}\sin^{2}\omega t)\\&=\dfrac{1}{2}CV_{0}^{2}\dfrac{d}{dt}(\sin^{2}\omega t)\\&=\dfrac{1}{2}CV_{0}^{2}\cdot (\sin\omega t)^{\prime}\cdot 2\sin\omega t\\&=\omega CV_{0}^{2}\sin\omega t \cos\omega t}$
やはり,$(\ast)$の形と同じになりましたね.
電力$=$静電エネルギーの変化
が成り立っています.
交流電源につないだとき,静電エネルギーは増加と減少を周期的に繰り返し,その結果,電力の平均は0となります.
こちらの記事で具体的な計算をしているので参考にしてください.
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