ドップラー効果演習3 反射板は2段階で考える

分野別
問題

振動数$f_{0}[\rm Hz]$の音源をもった青の人と,観測者である緑の人と反射板をもっている赤の人がいる.

一直線上の運動のみを考えるとき,次の各々の場合について,反射板によって反射した音を緑の人(観測者)が観測する振動数$f[\rm Hz]$を計算せよ.

ただし,音速は$V[\rm m/s]$で一定であり,風は吹いていないものとする.

(1) 音源をもった青の人が右方向に速さ$v[\rm m/s]$で動き,観測者である緑の人が静止していて,反射板をもった赤い人が左方向に速さ$w[\rm m/s]$で動くとき.

(2) 音源をもった青の人が静止していて,観測者である緑の人が左方向に速さ$u[\rm m/s]$で動き,反射板をもった赤い人が右方向に速さ$w[\rm m/s]$で動くとき.

(3) 音源をもった青の人が右方向に速さ$v[\rm m/s]$で動き,観測者である緑の人が右方向に速さ$u[\rm m/s]$で動いて,反射板をもった赤い人が左方向に速さ$w[\rm m/s]$で動くとき.

ドップラー効果

観測者が観測する振動数$f[\rm Hz]$は「$1 \rm s$間で観測者が受け取る波の数」を意味する.

波の数は次のように表すことができる.

波の数

波の波長を$\lambda$(波1個分の長さ),波の個数を$N$,波全体の長さを$\Delta L$とすると,次の関係式が成り立つ.

$\Delta L=N\cdot \lambda$

$\therefore N=\dfrac{\Delta L}{\lambda}$

このことから,

$f=\dfrac{1{\rm s}で受け取る波の長さ }{波の波長}$

で観測者が観測する振動数を求める.

以下,音源の振動数を$f_{0}$,音速を$V[\rm m/s]$,音源の速さを$v[\rm m/s]$,観測者の速さを$u[\rm m/s]$とする.

★ $1\rm s$で受けとる波の長さ

① 観測者が動かないとき→ $V\cdot 1$

② 観測者が音源に向かっているとき→ $(V+u)\cdot 1$

③ 観測者が音源から遠ざかっているとき→ $(V-u)\cdot 1$

★ 波の波長

① 音源が動かないとき→ $\dfrac{V}{f_{0}}$

② 音源の進行方向の波長→ $\dfrac{V-v}{f_{0}}$

① 音源の進行方向と逆の波長→ $\dfrac{V+v}{f_{0}}$

PHYさん
PHYさん

反射板の問題は次のように2段階で考えます.

① まずは,反射板で受け取る振動数$f_{1}$を求める.

② 反射板が①で受けとった振動数を出す新たな音源としてドップラー効果を考える.

(1)

NEKO
NEKO

まずは,反射板が受け取る振動数$f_{1}$を求めます.

音源の前方の波長$\lambda^{\prime}$は

$\lambda^{\prime}=\dfrac{V-v}{f_{0}}$

になります.

また,反射板が$1\rm s$で受け取る波の長さ$L$は

$L=(V+w)\cdot 1$

したがって,反射板が受け取る振動数$f_{1}$は

$\eqalign{f_{1}&=\dfrac{L}{\lambda^{\prime}}\\&=\dfrac{V+w}{\dfrac{V-v}{f_{0}}}\\&=\dfrac{V+w}{V-v}f_{0}}$

NEKO
NEKO

次に,振動数$f_{1}$で反射板が音を出し,観測者に音を届けると考えます.

反射板前方の波長$\lambda_{1}$は

$\lambda_{1}=\dfrac{V-w}{f_{1}}$

になります.

また,観測者が$1 \rm s$で受け取る波の長さ$L_{1}$は

$L_{1}=V\cdot 1$

です.したがって,観測者が受け取る振動数$f$は

$\eqalign{f&=\dfrac{L_{1}}{\lambda_{1}}\\&=\dfrac{V}{\dfrac{V-w}{f_{1}}}\\&=\dfrac{V}{V-w}f_{1}\\&=\dfrac{V}{V-w}\cdot\dfrac{V+w}{V-v}f_{0}[\rm Hz] }$ (答)

(2)

NEKO
NEKO

まずは,反射板が受け取る振動数$f_{1}$を求めます.

音源の前方の波長$\lambda^{\prime}$は

$\lambda^{\prime}=\dfrac{V}{f_{0}}$

になります.

また,反射板が$1\rm s$で受け取る波の長さ$L$は

$L=(V-w)\cdot 1$

したがって,反射板が受け取る振動数$f_{1}$は

$\eqalign{f_{1}&=\dfrac{L}{\lambda^{\prime}}\\&=\dfrac{V-w}{\dfrac{V}{f_{0}}}\\&=\dfrac{V-w}{V}f_{0}}$

NEKO
NEKO

次に,振動数$f_{1}$で反射板が音を出し,観測者に音を届けると考えます.

反射板前方の波長$\lambda_{1}$は

$\lambda_{1}=\dfrac{V+w}{f_{1}}$

になります.

また,観測者が$1 \rm s$で受け取る波の長さ$L_{1}$は

$L_{1}=(V-u)\cdot 1$

です.したがって,観測者が受け取る振動数$f$は

$\eqalign{f&=\dfrac{L_{1}}{\lambda_{1}}\\&=\dfrac{V-u}{\dfrac{V+w}{f_{1}}}\\&=\dfrac{V-u}{V+w}f_{1}\\&=\dfrac{V-u}{V+w}\cdot\dfrac{V-w}{V}f_{0} [\rm Hz]}$ (答)

(3)

NEKO
NEKO

まずは,反射板が受け取る振動数$f_{1}$を求めます.

音源の前方の波長$\lambda^{\prime}$は

$\lambda^{\prime}=\dfrac{V-v}{f_{0}}$

になります.

また,反射板が$1\rm s$で受け取る波の長さ$L$は

$L=(V+w)\cdot 1$

したがって,反射板が受け取る振動数$f_{1}$は

$\eqalign{f_{1}&=\dfrac{L}{\lambda^{\prime}}\\&=\dfrac{V+w}{\dfrac{V-v}{f_{0}}}\\&=\dfrac{V+w}{V-v}f_{0}}$

NEKO
NEKO

次に,振動数$f_{1}$で反射板が音を出し,観測者に音を届けると考えます.

反射板前方の波長$\lambda_{1}$は

$\lambda_{1}=\dfrac{V-w}{f_{1}}$

になります.

また,観測者が$1 \rm s$で受け取る波の長さ$L_{1}$は

$L_{1}=(V+u)\cdot 1$

です.したがって,観測者が受け取る振動数$f$は

$\eqalign{f&=\dfrac{L_{1}}{\lambda_{1}}\\&=\dfrac{V+u}{\dfrac{V-w}{f_{1}}}\\&=\dfrac{V+u}{V-w}f_{1}\\&=\dfrac{V+u}{V-w}\cdot\dfrac{V+w}{V-v}f_{0}[\rm Hz] }$ (答)

コメント

  1. […] […]

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