
前回の内容はこちらです.

図のように,起電力がともに$V_{0}[\rm V]$の電池$\rm E_{1} , E_{2}$,電気容量が$C_{0}[\rm F]$のコンデンサー$\rm C_{1}$,$\rm C_{2}$および切り替えスイッチ$\rm S_{1} , S_{2}$からなる回路がある.はじめ,スイッチは開いた状態で,コンデンサーには電荷が蓄えられていない.この状態から次の操作を行った.
(操作1)
まずスイッチ$\rm S_{1}$,$\rm S_{2}$を同時にA側に接続した.
(操作2)
(操作1)の後,十分時間が経過した後にスイッチ$\rm S_{1} , S_{2}$を同時に切り替えてB側に接続した.その後,十分時間が経過した.
問:(操作1)と(操作2)を無限回繰り返すとP点の電位は収束した.最終的にいくらになるか.ただし,アースにおける電位を基準とする.
<解答>


スイッチをA側に閉じて十分時間が経つと$\rm C_{1}$に電荷が蓄えられます.
$\rm C_{1}$の下側が電位が$-V_{0}$,上側が$0$なので,$\rm C_{1}$の下側に負電荷が,上側に正電荷が蓄えられます.
($\rm E_{1}$の電位差は$V_{0}$で左の電位が0なので,右側の電位が$-V_{0}$となる.)


上図はスイッチをB側につなぐ直前です.
$\rm S_{1}$の上図青色部分が赤色部分の電位よりも大きいため,スイッチを閉じると全体として上図の矢印の向きに電流が流れます.


すると,$\rm C_{1}$の上側の正電荷がいくらか$\rm C_{2}$の上側に移動し,$\rm C_{2}$の上側の電位が上がります.


Pの電位が収束するのであれば,無限回操作を繰り返すと,スイッチを切り替えても電流が流れなくなるはずです.
上図は,無限回操作を繰り返したときのスイッチをA側に切り替える前の図です.
スイッチ$\rm S_{1}$の左と右の電位が等しいと電流が流れません.
すると,$\rm C_{1}$の下側の電位は$-V_{0}$となり($\rm E_{1}$の左の電位より右の電位の方が$V_{0}$低い.),その結果$\rm C_{1}$の電位差は$V_{0}$となります.


次に無限回操作を行った後にスイッチをBにつなぐ前です.
$\rm S_{1}$の左右はどちらも電位は0なので,その結果$\rm C_{1}$の下側の電位は$V_{0}$となります.($\rm E_{2}$の左の電位より右の電位の方が$V_{0}$高い.)
さらに,$\rm C_{1}$の電圧は$V_{0}$で,上側極板の電位の方が高いので,$\rm C_{1}$の上側極板の電位は$2V_{0}$となります.
また,スイッチ$\rm S_{2}$の両端の電位が同じことから,$\rm S_{2}$の上側の電位も$2V_{0}$となります.
以上より,Pの電位は$2V_{0}[\rm V]$(答)となります.
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