前回の内容はこちらです.
今回は,誘導なしだとやや難しいです.
ただ,誘導があれば,入試でも出てきます.
コイルの回路における扱いは次の記事を参考にしてください.
導体棒が速度$v$で動いているときは,$vBl$の誘導起電力が生じています.(図は速度が正のとき)
また,時間$\varDelta t$の間に電流が$\varDelta i$変化すると,コイルには$L\dfrac{\varDelta i}{\varDelta t}$が生じます.(図は電流の正の向きを図の矢印の向きとして,$\dfrac{\varDelta i}{\varDelta t}>0$のとき)
★ キルヒホッフ則
$vBl-L\dfrac{\varDelta i}{\varDelta t}=0$
上式において,
$v=\dfrac{\varDelta x}{\varDelta t}$
を代入して整理します.
$\dfrac{\varDelta x}{\cancel{\varDelta t}}\cdot Bl=L\dfrac{\varDelta i}{\cancel{\varDelta t}}$
$\therefore \dfrac{\varDelta i}{\varDelta x}=\dfrac{Bl}{L}=一定$
$ \dfrac{\varDelta i}{\varDelta x}=\dfrac{Bl}{L}=一定 $の意味を考えてみましょう.
これは,縦軸を$i$,横軸を$x$としたときの傾きに相当するね.時刻$0$において,$x=0$で,$i=0$でもあるから,原点を通る傾きが$\dfrac{Bl}{L}$の直線になるんだね.
大学入試では,積分を回避するためにこのようにグラフを利用して解くことがあるんだよ.
つまり,
$i=\dfrac{Bl}{L}x$ $\cdots (\ast)$
の関係があるんだね.
さらに運動方程式を立てます.
斜面下方向の加速度を$a$としましょう.
斜面下向きには,重力を分解した成分$mgsin\theta$が,斜面真上からみて反時計回りを電流の向きとしたとき,斜面上向きには電磁力$iBl$がはたらきます.
★ 運動方程式
$ma=mg\sin\theta-iBl$ $\cdots (2\ast)$
$(\ast)$を$(2\ast)$に代入して$i$を消去しましょう.
$\eqalign{ma&=mg\sin\theta-iBl\\&=mg\sin\theta-\dfrac{B^{2}l^{2}}{L}x\\&=-\dfrac{B^{2}l^{2}}{L}\left(x-\dfrac{mgL\sin\theta}{B^{2}l^{2}}\right) \cdots (3\ast)} $
この運動方程式は単振動だね.
単振動の演習はこちらにまとめてあるので,単振動が苦手な人は練習しておきましょう.
$(3\ast)$の運動方程式から,振動の中心は$x= \dfrac{mgL\sin\theta}{B^{2}l^{2}} $,角振動数$\omega$は
$\omega=\sqrt{\dfrac{B^{2}l^{2}}{mL}}=\dfrac{Bl}{\sqrt{mL}}$
の単振動をするんだね.$x=0$において$v=0$になるので,ここが振動の下端(座標としては一番小さい)になって,中心までの距離は$ \dfrac{mgL\sin\theta}{B^{2}l^{2}} $なのでこれが振幅になるね.
だから,時刻$t$における位置$x$は
$x= \dfrac{mgL\sin\theta}{B^{2}l^{2}} – \dfrac{mgL\sin\theta}{B^{2}l^{2}} \cos \left( \dfrac{Bl}{\sqrt{mL}} t\right)$
であって,これを$t$で微分すると
$v=\dfrac{dx}{dt}=\dfrac{g\sin\theta\sqrt{mL}}{Bl}\sin\left(\dfrac{Bl}{\sqrt{mL}}t\right)$
となるからから,$\sin$のグラフを選べばいいね.
したがって,答えは②(答)です.
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