反発係数$e$は,次のように定義されています.この式は覚えている人も多く,立式するのはさほど難しくないでしょう.
しかし,この反発係数の意味を知っているでしょうか.
実は,反発係数は相対速度の大きさの比なのです.
$v_{1}-v_{2}$は衝突前の物体2に対する物体1の相対速度,つまり
衝突前の青の物体からみた緑の物体の速度
を表しています.
また,$v’_{1}-v’_{2}$は衝突後の物体2に対する物体1の相対速度,つまり
衝突後の 青の物体 からみた 緑の物体 の速度
を表しています.
反発係数の式の
$e=- \dfrac{v’_{1}-v’_{2}}{v_{1}-v_{2}}$
の”$-$”は衝突前後で相対速度の向きが変わることからきています.
また,反発係数の式は次にようにかくこともできます.
(衝突後の相対速度)=$-e$×(衝突前の相対速度)
このことを利用して次の問題を解いてみましょう.
<考え方>
次のような解き方は非効率です.
① 運動量保存則と反発係数の式を立てて,衝突の物体と箱の速度を計算する.
② 箱の上から見た物体の相対速度を計算し,物体が右側の壁から左の壁に移動する 時間を求める.
ここでは,反発係数の意味に着目しましょう.
(衝突後の相対速度)=$-e$×(衝突前の相対速度)
であるから,
(衝突後の箱からみた物体の速度)=$-e$×(衝突前の箱からみた物体の速度)
となります.衝突前は箱は速度0であったから,箱からみた物体の速度は$v_0$.
したがって,衝突後の箱からみた物体の速度は$-ev_0$.つまり,箱からみたら衝突後は左方向に速さ$ev_0$の速さで等速直線運動するのです.あとは求める時間を$t_0$とすれば,
$t_{0}=\dfrac{l_0}{ev_0}$ (答)
となります.箱の上の物体の衝突ではこのような方法で解くと問題を簡単に解くこともできます.ぜひ活用してみてください.
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