コンデンサー演習3 誘電体の挿入 直列型 スイッチ開く

コンデンサー
問題

起電力$V_{0}$の電源,スイッチ,抵抗と面積$S$の極板A,Bによってつくられた平行平板コンデンサーが上図のように接続されている.

極板A,Bの距離は$d$に固定されており,真空の誘電率を$\varepsilon_{0}$とする.

なお,空気中での誘電率も真空と同じであるとみなすことができるとしてよい.

スイッチを閉じて十分時間が経つと,コンデンサーに電荷$Q_{0}$が蓄えられることによって,極板A,B間の電場の大きさは$E_{0}$となった.

その後,スイッチを開き,ゆっくりと面積$S$,厚さ$\dfrac{d}{3}$で比誘電率$2.0$の誘電体を極板A,Bの中央に極板と平行に挿入した.

このとき,次の問いに答えよ.

ただし,解答には$\varepsilon_{0}$,$d$,$S$,$V_{0}$を用いよ.

(1) $Q_{0}$と$E_{0}$をそれぞれ求めよ.

(2) 誘電体挿入後の極板AB間の電位差$V_{1}$を求めよ.

(3) 誘電体挿入後の電気容量$C_{1}$を求めよ.

(4) 

誘電体を挿入する前のBからの距離とコンデンサー内の電場の大きさの関係のグラフ,および,Bからの距離とBを基準とした電位の関係は上図のようであった.誘電体挿入後のグラフをかけ.

<解答>

(1) 

NEKO
NEKO

$Q_{0}$はコンデンサーの基本式から求められるね.

電気容量の定義式(コンデンサーの基本式)

コンデンサーに蓄えられている電荷を$Q$,コンデンサー間の電圧を$V$とすれば,コンデンサーの電気容量$C$は

$C=\dfrac{Q}{V}$

実際は

$Q=CV$

として使うことが多い.

★ コンデンサーの基本式

コンデンサー間の電圧と電源の電圧はどちらも$V_{0}$なので,コンデンサーの基本式より

$Q_{0}=\varepsilon_{0}\dfrac{S}{d}V_{0}$ (答え)

NEKO
NEKO

さらに,平面に電荷がつくる電場は次のようになるんだったね.

平面に一様に分布した電荷がつくる電場

十分に広い平面に一様な電荷$Q$が分布している.

真空の誘電率を$\varepsilon_{0}$,平面の面積を$S$とするとき,電場の大きさ$E$は

$E=\dfrac{|Q|}{2\varepsilon_{0}S}$

これは,電場が距離によらず一定であることを意味している.

NEKO
NEKO

コンデンサーに電荷$Q$が蓄えられたときの電場は上の図のようになるんだったね.

★ 極板間の電場

$\eqalign{E_{0}&=\dfrac{Q_{0}}{2\varepsilon_{0}S}+\dfrac{Q_{0}}{2\varepsilon_{0}S}\\&=\dfrac{Q_{0}}{\varepsilon_{0}S}\\&=\dfrac{1}{\varepsilon_{0}S}\cdot \varepsilon_{0}\dfrac{S}{d}V_{0}\\&=\dfrac{V_{0}}{d}}$

したがって,答えは,$E_{0}=\dfrac{V_{0}}{d}$

(2) 

NEKO
NEKO

スイッチを開いたまま誘電体を挿入すると,極板A,Bの電荷は移動しません.

そして,誘電体を挿入するとことで,誘電体が分極し,誘電体内部の電場を少し弱めます.

こちらの記事でも説明しています.

誘電体内の電場

比誘電率$\varepsilon_{\rm r}$の誘電体に外部電場$E_{0}$をかけると,誘電分極により,誘電体内部の電場が$E^{\prime}$になったとする.

このとき,

$E^{\prime}=\dfrac{E_{0}}{\varepsilon_{\rm r}}$

となるように,比誘電率を定義する.

NEKO
NEKO

比誘電率$2.0$の誘電体を挿入すると,誘電体内部の電場は$\dfrac{E_{0}}{2}$となります.

電場と電位差の関係から極板ABの電位差$V_{1}$を求めていきます.

電場の電位差の関係

電場の大きさを$E$,距離$\Delta x$の電位差を$\Delta V$とするとき,次の関係が成り立つ.

$E=\left|\dfrac{\Delta V}{\Delta x}\right|$

★ 極板ABの電位差$V_{1}$

$\eqalign{V_{1}&=E_{0}\cdot \dfrac{d}{3}+\dfrac{E_{0}}{2}\cdot \dfrac{d}{3}+E_{0}\cdot \dfrac{d}{3}\\&=\dfrac{5}{6}E_{0}d\\&=\dfrac{5}{6}V_{0}}$

したがって,$V_{1}=\dfrac{5}{6}V_{0}$

(3)

NEKO
NEKO

コンデンサーの電気容量は,次の式を使いましょう.

電気容量の定義式(コンデンサーの基本式)

コンデンサーに蓄えられている電荷を$Q$,コンデンサー間の電圧を$V$とすれば,コンデンサーの電気容量$C$は

$C=\dfrac{Q}{V}$

実際は

$Q=CV$

として使うことが多い.

★ 電気容量

$\eqalign{C_{1}&=\dfrac{Q_{0}}{V_{1}}\\&=\dfrac{\varepsilon_{0}\dfrac{S}{d}V_{0}}{\dfrac{5V_{0}}{6}}\\&=\dfrac{6\varepsilon_{0}S}{5d}}$

したがって,電気容量は$C_{1}=\dfrac{6\varepsilon_{0}S}{5d}$

(4)

PHYさん
PHYさん

今までの考察から,グラフは次のようになります.

コメント

  1. […] コンデンサー演習3 誘電体の挿入 直列型 スイッチ開く問題起電力$V_{0}… […]

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