
今回はこの記事にも書かれている位相差の問題を解いてみましょう.

波源$\rm S_{1}$,$\rm S_{2}$があり,波源$\rm S_{1}$では時刻$t$において,$y_{1}=A\sin\left(2\pi ft\right)$で振動していて,波源$\rm S_{2}$では,$y_{2}=A\sin\left(2\pi ft\right)$で振動している.ただし,$A$は振幅,$f$は振動数であり,どちらも正の定数である.${\rm S_{1}P}=l_{1}$,${\rm S_{2}P}=l_{2}$であるような点$\rm P$がある.このとき,次の問いに答えよ.ただし,伝わる波の波長を$\lambda$とする.
(1) $\rm S_{1}$から$\rm P$に伝わる波の$\rm P$における媒質の変位と$\rm S_{2}$から$\rm P$に伝わる波の$\rm P$における媒質の変位の位相差$\varDelta \varphi$を$\lambda$,$l_{1}$,$l_{2}$を用いて表せ.
(2) 2つの波が強め合うときの条件を整数$k$および,$l_{1}$,$l_{2}$,$\lambda$を用いてかけ.
(3) 2つの波が弱め合うときの条件を整数$k$および,$l_{1}$,$l_{2}$,$\lambda$を用いてかけ.
<解答>
(1)

波が伝わる速さを$V$とすると,$\rm S_{1}$から$\rm P$に伝わる波において,$\rm P$で媒質の変位は,時間$\dfrac{l_{1}}{V}$前の$\rm S_{1}$での振動と等しいんだよね.
したがって,媒質の変位$y_{1\rm P}$は
$y_{1\rm P}=A\sin\left\{2\pi f\left(t-\dfrac{l_{1}}{V}\right) \right\}$

このとき,位相$\varphi_{1}$は,波の基本式,$V=f\lambda$も用いると次のようになります.
$\varphi_{1}=2\pi f\left(t-\dfrac{l_{1}}{V}\right)=2\pi ft-\dfrac{2\pi }{\lambda}l_{1}$

同じように,$\rm S_{2}$から$\rm P$に伝わる波の$\rm P$における媒質の位相$\varphi_{2}$は
$\varphi_{2}=2\pi f\left(t-\dfrac{l_{2}}{V}\right)=2\pi ft-\dfrac{2\pi }{\lambda}l_{2}$

したがって,位相差$\varDelta \varphi$は
$\varDelta \varphi=\varphi_{1}-\varphi_{2}=\dfrac{2\pi}{\lambda}(l_{2}-l_{1})$ (答)
(2)

強め合うのは,$\varDelta \varphi$が$2\pi$の整数倍になるときなので
$\varDelta \varphi=2\pi k$
$\therefore \dfrac{2\pi}{\lambda}(l_{2}-l_{1})=2\pi k$ (答)

さらに変形すると,
$l_{2}-l_{1}=k\lambda$
のように,よく見る強めいあいの条件が出てくるね.
(3)

弱め合うのは,$\varDelta \varphi$が$\pi$の奇数倍のときなので
$\varDelta \varphi=(2k-1)\pi$
$\therefore \dfrac{2\pi}{\lambda}(l_{2}-l_{1})=(2k-1)\pi $(答)

同様に,
$l_{2}-l_{1}=\left(k-\dfrac{1}{2}\right)\lambda$
を得ます.

次回の内容はこちらです.
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