熱力学に出てくる公式ってたくさんあるし,使えるときと使えないときがあってごちゃごちゃするんだよね.
いまのうちのしっかり整理しておかないと..
では,今回使う物理量の整理と用語の解説からはじめましょう.
使用する物理量と基本用語の解説
圧力:$p$,体積$V$,絶対温度$T$,物質量$n$,気体定数$R$,
また,内部エネルギーの変化を$\Delta U$,気体が吸収する熱量を$Q$,気体がする仕事を$W_{気体}$,気体が外部からされる仕事を$W_{外}$とします.
$C$:モル比熱,$C_{V}$:定積モル比熱,$C_{p}$:定圧モル比熱
$\clubsuit$用語の解説$\clubsuit$
・理想気体
分子の大きさ,分子間力を考えない,ボイルシャルルの法則が成り立つと考えたときの気体.
高校物理では,これ以外は出ません.
・単原子分子
ヘリウム,アルゴン,水銀蒸気などのように原子が単独に飛び回っているものを指します.
高校物理ではほとんどが単原子分子を考えますが,たまに二原子分子なども考えることがあるので注意です.
・準静的変化
状態の変化をその都度つり合っているとみなせるくらいゆっくりと変化させます.
基本的には準静的変化を考えるが,そうではない変化の有名な例として,断熱自由膨張があります.
では公式をまとめておきましょう.
理想気体の状態方程式とその周辺
① 理想気体の状態方程式
使用条件:理想気体であること.
式:$pV=nRT$
② ボイルシャルルの法則
使用条件:理想気体であり,かつ物質量$n$が変化しないこと.
式:$\dfrac{pV}{T}=$一定
③ ボイルの法則
使用条件:理想気体であり,かつ物質量,温度がともに変化しないこと.
式:$pV=$一定
④ シャルルの法則
使用条件:理想気体であり,かつ物質量,圧力がともに変化しないこと.
式:$\dfrac{V}{T}=$一定
⑤ 気球問題でよく使う式
使用条件:理想気体であり,かつ気体の構成している分子量が変化しないとき.
式:密度を$\rho$として,$\dfrac{P}{\rho T}=$一定
熱力学第一法則とその周辺
⑥ 熱力学第一法則
使用条件:いつでも使える.
式:$Q=\Delta U-W_{外}=\Delta U+W_{気体}$
(ただし,$W_{外}=-W_{気体}$が成り立つのは準静的変化のときのみ)
⑦ 内部エネルギーの変化(単原子分子理想気体ver.)
使用条件:単原子分子理想気体
式:$\Delta U=\dfrac{3}{2}nR\Delta T=\dfrac{3}{2}(p_{2}V_{2}-p_{1}V_{1})$
⑧ 内部エネルギーの変化(理想気体一般ver.)
使用条件:理想気体
式:$\Delta U=nC_{V}\Delta T$
⑨ モル比熱の定義
使用条件:基本的にはないが,式の通り,$\Delta T\neq 0$
式:$C=\dfrac{Q}{n\Delta T}$
⑩ 仕事の計算
使用条件:圧力が一定,または一定とみなせるとき.
式:$W_{気体}=p\Delta V$
⑪ 理想気体のマイヤーの関係
使用条件:理想気体のとき
式:$C_{p}-C_{V}=R$
⑫ ポアソンの式
使用条件:理想気体でかつ準静的断熱変化(断熱自由膨張では使えない!)
式:$PV^{\gamma}=$一定,$\gamma=\dfrac{C_{p}}{C_{V}}$
⑬ 熱効率の式
吸収した熱量を$Q_{\rm{in}}$,放出した熱量を$Q_{\rm_{out}}$,気体が正味のした仕事(気体がした正の仕事,負の仕事を符号付きですべて足すこと)を$W_{気体}$とすると,熱効率$e$は
$e=\dfrac{W_{気体}}{Q_{\rm{in}}}=\dfrac{Q_{\rm{in}}-Q_{\rm{out}}}{Q_{\rm{in}}}=1-\dfrac{Q_{\rm{out}}}{Q_{\rm{in}}}$
コメント
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